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内容説明
「京都学派」の「戦争協力」については、戦後から今に至るまで、さまざまな批判がなされてきた。平成12年、戦争中、京都学派が開いていた秘密会合の詳細な記録「大島メモ」が60年ぶりに発見された。それによると彼らは昭和17年2月から20年7月まで、海軍の一部の要請と協力を受け、月に1・2回、時局を論ずる会合を重ねていた。常連は高山岩男、高坂正顕、西谷啓治、木村素衞、鈴木成高、宮崎一定、日高第四郎。田辺元や海軍調査課の高木惣吉大佐も時折出席。ゲストには湯川秀樹や柳田謙十郎、谷川哲三や大熊信行等。秘密裡に開かれたのは海軍と連携しつつ陸軍の戦争方針を是正しようとする体制内反体制というべき会合だったため。会合の記録は京大の副手だった大島康正が担当し、海軍省へ送っていた。戦後、東京裁判の視点により抹殺された京都学派の「思想」と「行動」の真の姿が60年余りを経て発見された一次史料により、初めて明らかにされる!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
南北
50
大東亜戦争の最中、海軍は「京都学派」のメンバー等に時代の展望や戦争終結の見通しなどを討議する秘密会合を依頼していた。それは国内における思想戦であり、日本の近代化路線そのものを問題とするものであったと言える。本書の前半は海軍と京都学派との経緯が書かれているが、後半ではその会合に関する大島康正氏のメモが掲載されていて、こちらの方が興味深いと感じた。和魂洋才と言いながら、うまく接ぎ木することができなかった点に関する問題意識はかなりのレベルに達していたが、戦後一気にレベルダウンしてしまったのは残念なことだと思う。2024/09/12
ひろゆき
4
太平洋戦争時期、陸軍が国粋主義的な思想で理論武装していたのに対し、海軍は西田幾多郎、田辺元につながる京都学派をブレーンに招き秘密の会合を重ねていた。それを記録した大島康正によるメモを元に、歴史を再構成したもの。当然、京都学派といっても戸坂潤、三木清はいない。高坂正顕、高山岩男らが中心で、柳田謙十郎、谷川徹三らも参加していたのは少し驚き。情勢や共栄圏のありかたなどについて幅広く論議している。資料は、当時の中国人が調査にたいし結構本音を語っていたり、陸軍の戦争指導を批判したりと、面白い。総力戦の裾野は広い。2013/02/05
ぽん教授(非実在系)
3
東條や蓑田への理解が甘いが、20年前の段階では仕方なかったように思う(蓑田についての研究が竹内洋や植村和秀といった諸先生によって進められたのはその数年後から)。 2021/02/28
euthanasia
2
もはや新書ではない2013/02/09
ねこみ
1
京都学派の戦時の活躍を180度転換させるまさに革命的な発見、著書。2001年にでてるわりに反響がなさすぎる気がする。NHKの海軍400時間みなければ。2011/09/22
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