内容説明
ぼくらは、壊れても手をつないだままだった。
あのとき、手をはなしてさえいれば――。
大学生で作家のぼくは、入院した遠縁のおばあさんの家……白い桜の木がある、アニメに出てきそうな洋館・「白桜館」の管理を任された。そこにりりなと称する謎の多い10歳の女の子が現れ、彼女の世話をすることに。わがままなりりなの世話と執筆に追われつつも、いままで感じたことのない満たされた毎日を送る僕。しかし、あたたかい二人の日々は唐突に終わった。それがお別れになるとは知らず、二人が向かった先とは? りりなの本当のすがたは? 愛する人の喪失、自分自身の喪失、絶望の淵に落ちても、それでも生きていこうと思えたのは、亡き彼女からの贈り物だった。
TVアニメ、劇場映画で話題の「若おかみは小学生!」の話題の著者による「喪失」を抱えた主人公の物語。愛する人を喪い、自らをも失っても、愛することを畏れず、生きていけるのか? 感動と成長の物語。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
chimako
75
読み始めはりりなの自分勝手にイラッとしたり、子どもっぽいやり取りに「YAだったかな?」と思ったりしたけれどなかなかの仕掛けのある物語だった。大学生のぼくは軽い読み物を書く作家。遠縁のおばあさんの家に管理人として住むことになる。そこにやって来た赤いカーディガンの小学生りりな。お互い反目しながらもやがてなくてはならない存在となる。そして、おばあさんが帰ってくる前のお花見でぼくは崖から落ちてしまう。目覚めてりりなの事を聞くと「そんな子は居ない」と出版社の編集者の事を聞くと「何を言っているの」と。どうなってるの?2019/08/10
はる
73
優しく切ない物語。この小説の感想をネタバレなしで書くのは難しいですね笑。柔らかな雰囲気で進んでいく物語。でも…。途中からは予想もしなかった展開に驚きました。なんとなく感じていた違和感はこのせいか…。後半は好みが分かれてしまうかもしれませんね。でも素敵なラストですよ。2018/11/20
Ikutan
68
遠縁のおばあさんが入院中、家の管理を任された颯太。白桜館と呼ばれるその家に突然、りりなと呼ばれる少女がやって来た。りりなのわがままに振り回され戸惑う颯太だったが、次第に心を通わせていく。可愛らしい装丁と童話のような設定にほのぼの系のストーリーかと油断していたら、なんと!途中で急なストーリー展開。えーっ!なに?どういうこと?と混乱しちゃいました。確かに、プロローグもあったし、モヤモヤするところもあったけど、そういうことだったとは。後半に入り思わず涙ぐんでしまうところも。いやいや、なかなか切ないお話でした。2019/01/28
野のこ
64
装丁やタイトルでジャケ借り。すごくライトなお話だなぁと読み進めてたら、途中でぐるんと場面が変わって全ては夢だった。後半は前半の何気ない情景が現実と繋がって感情が高まりました。タイトルの意味を知ったときは初めのきゅんとした印象とガラッと違ってて苦しくなった。切なかったけど、ラストはあたたかくて ちょっと小悪魔な可愛らしい彼女からの贈りものでした。りりなのフルーツサンドのレシピが気になりました。2018/11/24
☆よいこ
63
YA。前半=新人ラノベ作家の颯太(さった)は、遠縁のおばさんの家[白桜館(はくおうかん)]の管理人として一人暮らしをはじめた。そこへ孫娘だという、10歳の女の子りりあがやってくる。わがままなりりあに振り回されて、へとへとだった颯太だったが、だんだんとふたりで暮らすことに生きがいを感じるようになる。後半=実は白桜館は〇〇で、颯太は目覚めたとき記憶が混乱していた。▽亡くなった兄への思いや、生きることのつらさ悲しさに涙がでた。前半のラノベ展開からのどんでん返しに目をみはる。うまいこと書くなぁ。おもしろかった。2018/12/12