平凡社新書<br> 「武国」日本

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平凡社新書
「武国」日本

  • 著者名:佐伯真一
  • 価格 ¥836(本体¥760)
  • 平凡社(2018/10発売)
  • ポイント 7pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784582858945

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内容説明

日本はサムライの国か? 昭和前期には軍国主義へと結びついた「武国」日本意識の来歴を探り、意外に浅い歴史しかもたないこの日本人の自己像のうちに潜む罠を剔出する。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

kawasaki

11
「わが国は「武の国」である、ゆえに優れている」という日本の自画像の、時代ごとの変遷を追いかけていく。「武国」思想は「外来思想かぶれ」のいけ好かないインテリに対するアンチという点で「反知性主義」に似ているであるとか、作られた「伝統」への注意喚起など、現在の状況に絡めた読み解きも。義経=ジンギスカン論の広がりに、「有名な識者」が「本当かどうかわからないけど(たぶん嘘だけど)本当だったら面白いよね」的に、若干無責任な形で言及したことが寄与してしまってる点などは、現代にも通じるように思う。2020/07/29

nagoyan

6
優。鎌倉後期までは神国意識は「武」とは結びつかず、却って武を野蛮とする意識と結びついていた。太平記が成立する頃には従来の「文」から「武」(弓矢の道)はそれ自体の価値と論理を有するものとして自立する。ついに、秀吉の「弓箭厳しき国」意識において文を超える。日本人は東アジアにおいて異様な「武」に価値を置く国として自己像を形成し、それが幕末の危機において反発力と作用した。元寇時に、元軍の主体が大量挑発された農民兵がもつ小柄の弩に対し専門兵士である武士は大弓を扱っていたことに誇りを感じたとする点は聊か示唆的である。2018/12/29

Myrmidon

6
おお、ここしばらくの自分の問題意識にかなり合致した。「武」に優れた国としての日本観がいつごろ、どのように成立してきたかを多くの資料から描く。特に儒教的「文」を公家の文化である詩歌管絃と矮小化して、それと対立させて「武」を称揚する近世武士の無教養な言説とか、ある種の納得感があって面白い。やはり「武国」意識が庶民レベルで広がるのは江戸時代だったが、江戸幕府公式の朱子学イデオロギーよりむしろ、大衆芸能や新興神道、国学、水戸学など、ある種アンオフィシャルなトコから広がるのは興味深かった。2018/11/18

nnnともろー

5
「武国」論史。「日本は武の国である」という自意識が古代から近代までどのように変遷してきたのか。これまで読んだことがなかったタイプの本。著者の根底にあるのは現代への危機感。2020/02/03

ishilinguist

5
「武国」という日本の自国意識がどう形成されてきたかを詳細に描く。幕末の漂流民「音吉」の、日本の武威でアメリカは追い返せる、という認識が特に新鮮であった2018/12/02

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