内容説明
ペンリック・キン・ジュラルド19歳、兄が決めた婚約式のために町へ行く途中、病で倒れている老女の最期を看取ったのが、すべての始まりだった。亡くなった神殿魔術師の老女に宿っていた庶子神の魔が、あろうことかペンリックに飛び移ってしまったのだ。おかげで婚約は破棄され、ペンリックは10人の人間とライオンと馬を経てきた年古りた魔を自分の内に棲まわせる羽目に。魔はすべて庶子神に属する。魔を受け継いだペンリックは魔を制御すべく訓練をはじめるが……。中編3編を収録、ヒューゴー賞など5賞受賞の〈五神教シリーズ〉登場。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
sin
73
無垢で善良な若者が、善意の気遣いから歳降りた魔をその身に宿してしまい…いつもながらビジョルドの物語は興味深く読みごたえがある。この作品を含む〈五神教〉シリーズは大好きなシリーズだし、ペンリックが登場する物語はあと3作あるということなので続巻を期待している。2019/01/24
星落秋風五丈原
56
選ばれし者でも何でもないただの通りすがりだったペンリックが偶然魔を引き受けたことから今までとは違う生活を強いられる。おまけに魔はこれまでに取りついた人の経験も知識も引き継いでおりペンリックは12の人間と獣のそれを持つ。もちろん「今まで読めなかった本が読めた!」などいい面もあるが、制御できない魔と会話している様子は、まるで一人芝居かヘンな人だ。そしてもちろん、強大な魔を狙う勢力も現れる。「その割には明るい主人公だな」と思ったが「ビジョルドにしては明るいキャラ」とのコメントも見かけたので、例外だろう。2018/11/22
パンダCRZ
38
★★★・・ 3/5「ペンリックと巫師」に出てくる巫師というものにピンとこないままなんとなく読み進んでいったら、途中から話がわからなくなってきたので頭から読みなおした。魔が人に宿り魔術師となるところや、人に宿った魔デスと宿主ペンとのやりとり、動物の魂を高めその動物の能力を取り込む巫師などの設定がおもしろい。2019/02/06
夜の女王
32
待望のビジョルド新刊!五神教シリーズ。中編3話。1話目は、街道で病に倒れた老女を救おうとして、魔に乗り移られた青年ペンリック。結婚話は流れ、人々からは警戒され、内なる12人の魔はひしめき喋り合い、魔を奪おうとした輩に命を狙わると、散々!どうなる事かと思ったが、2話目には既に一人前の魔術師に。殺人容疑の巫師を追って捜査協力する話。3話目は容疑晴れたイングリス巫師とオズウェル捜査官と共に、マガル魔術師殺人事件を追うという話。ビジョルドはキャラも世界設定もしっかりしてるので安心して読める。どれも面白かった。2018/11/15
しましまこ
32
五神教シリーズ新作ですって!今回の時代は『影の王国』より150年ほど未来、『チャリオンの影』の約100年過去。なんと主人公が19歳の美青年!みごとな金髪、長い睫毛が縁取る『湖の青』と呼ばれる瞳、スゴイ!そのうえ気立ても良いんですよ、どうしちゃったのビジョルドさん!!しかしこの青年、道すがら神殿魔術師を看取ったことから『魔』を宿すことになり…この『魔』が、馬とライオンと10人のご婦人(極めて面食い)の集合体。おば様達とのやり取りも楽しい短編3編。あっという間の一気読み面白かったー!どんどん訳してくれんかな。2018/10/01