内容説明
結婚を半年後に控えた30歳の拓海には、密かな日課があった。高校の時に好きだった女の子・睦月のブログを見ることだ。ある日、拓海はブログが更新されたのに気づき、驚く。なぜなら、睦月は12年前に死んでいるのだから…。拓海はブログを誰が更新したのか知るため、没交渉だった高校の同級生たちに会いに行くが―。東京と沖縄、18歳と30歳。時間と場所を超えて綴られる、彼女と僕の物語。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
のんき
99
30歳の拓海は、12年前に亡くなったはずの睦月(むつき)のブログが更新されていたのに気付きます。拓海は、誰が更新したのか?誰宛てのメッセージかを探します。心のどこかでは、睦月が拓海宛てに更新したと思いたいけど‥ 東京から沖縄に転校してきた高校生の睦月がとても良かったな!ほんとに大好きな人だったら、亡くなったとしても、その人のことは忘れないし、ほかの人と幸せに暮らすことになったとしても、きっと心のどこかに大好きな人は生きてるような気がします。そしてクジラが歌うという意味がわかってなお切なくなります。2019/03/23
馨
73
ピュアな恋愛小説という感じ。主人公の拓海たちこそアラサーですが文章も内容も10代向けな気がします。台詞も行動もとにかく若い感じ。ミステリーではないので12年前に亡くなった初恋の睦月のブログ更新の犯人探しも、ブログをしたことがある人ならばすぐ解けてしまいます。私の中では拓海がどうしたいのかいまいち子供じみているし、中途半端で恋人の梢も気の毒に思いました。2019/05/14
南雲吾朗
56
この本は、海の香りがする。太陽の熱も感じられる。12年前に死んだはずの同級生のブログが更新されることから、再度つながる人間関係。人を繋げるのは思い出なのだろうか?読後感の良い小説であった。2020/02/25
なるみ(旧Narumi)
28
図書館の新刊コーナーで偶然手に取りました。結婚を半年後に控えた30歳の男性会社員、拓海。高校生の時に好きだった、病気で亡くなってしまった女の子、睦月のブログが12年ぶりに更新されたことをきっかけに動き出す物語を描いていました。ブログが更新された背景はわりとすぐに想像できたのですが、登場人物の心情が丁寧に描かれていて、じっくり読ませてくれる一冊でした。2018/09/15
kaoriction@感想は気まぐれに
25
死んだ人には勝てない。ということを、ムカシ聞いたか、読んだ ことがある。だけど。その人を乗り越えて、忘れて、思い出にして生きてゆくということ。たいせつなのは、きっと。ピュアな心をどこかへ置き忘れてきた私には、期待したほどの感動はなかったが、人を想い、忘れ、思い出にして生きてゆく、ということをぼんやり、でも、真剣に考えてしまった。 タイトルの「クジラは歌をうたう」の意味を知った時は鼻の奥がツーンとなった。12年前の睦月はどんな思いでその言葉を綴ったのか。せつない。「君は今、何を見て、何を思っていますか?」2018/09/23