内容説明
主著『純粋理性批判』を書いたあと、周囲の無理解に悩まされたカントは自分でその要約版『プロレゴーメナ(序説)』を書いていた。懇切丁寧な解説で人気の高い著者が、要約版からカントの最も主張したかったことをクリアに取り出して提示する、目からウロコの入門書。……今度こそカントが分かる!!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
しんすけ
24
一年少しを置いた再読だ。 『プロレゴメナ』を話題にした創作をブログに連載していることもある関係で、頭を整理しておきたかったから読んでみた。 たしかに〈認識〉、〈悟性(理解力)〉、<判断>などに関する解説は例も書かれていて解りやすい。だが不満も残った。 それは本書を読んでも、思索する考え方に進展を感じられないことだった。 たとえば、知覚判断と経験判断の区別に関して、本書から得れれるのは、前者が個人的な判断でしかないのに対し、後者は多くに認めれうる判断ということに過ぎない。2023/11/01
しんすけ
21
考えること、それは自分探しの旅なのだ。だから、ぼくは彷徨って旅が終わることはない。 なぜなら『プロレゴメナ』後半で説かれるように、人間の悟性が、一挙に対象を把握できるような「直観的」なものではなく、概念と概念との関係を積み重ねて考えるしかない「論弁的」なものだからなのだ。 何事も一挙に解決できない。だから自分探しも、長い旅となる。 本書を読んでいるとき、その旅の途中の宿で休憩している自分を感じていた。 そこは『プロレゴメナ』の素晴らしさを、あらためて気づかせてくれる場だった。 2022/08/15
速読おやじ
17
何度もカントには挫折している。本書は名著純粋理性批判を読み解くための入門的な書、、と思っていたのだが、それでも理解して読み進むのにかなり苦労したし、正直やはり難しくて半分は諦めた。ー認識は常に経験とともに始まる。経験とは経験的認識であり、それには内容として知覚が含まれ、その知覚は経験的である。認識が対象に従うのではなく、対象が認識に従う考え方への転換。経験に依存しない認識=アプリオリな認識。なんだかよく分からんが、それが純粋悟性に基づくものなのか?とりあえず更なる入門書を求めて、カントの旅は続くのであった2021/07/10
しゅー
9
★★★NHK出版新書の『哲学史入門Ⅱ』で、カントの項を担当していた著者を知る。他の先生方はご自分の著書を1冊は推薦図書に忍ばせているのに、御子柴先生は奥床しくも他人の本ばかり薦めていた。それで逆に興味を持って、まずは入口となる『プロレゴーメナ』の入門書から手に取る。ヘンに噛み砕かずに原典の読み解きと言うスタイルで引用たっぷりなのが良かった。ノートでキーワード同士の結びつきを整理しながら読んだので頭を酷使したけど、カントの「問い」が分かりやすく解説されていて、初めてカントの言っていることに近づけた気がする。2024/06/17
♨️
7
いい本だと思う。哲学の術語ひとつのレベルから丁寧に解説しつつカントの晦渋な文章そのものを読んでいくから、『プロレゴーメナ』でなにが書かれてるかがわかる以上にそういう文章をゆっくり考えながら読んでいく作業を経験できる。後半の「読まずに純理の書評書くなよ! 」とガチギレしてるカントがおもしろい。2019/02/03




