内容説明
村上春樹の英語圏での成功の舞台裏を、編集者、翻訳家、エージェント…など携わった様々な人々、村上本人へのインタビューを軸に描く。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
どんぐり
63
川端・谷崎・三島に継ぐ日本人作家が国際的作家Haruki Murakamiになるまでのサイドストーリーである。我々が読んでいる日本人の村上春樹の小説が海外の読者に読まれるまでには、アメリカ市場へ向けてのプロモーターと日本語を英語に翻訳する者が欠かせない。これはそんな彼らの物語でもある。国際的な文芸市場のハブであるニューヨークでのデビューから国際的作家となった村上春樹の軌跡を翻訳家、編集者、作家へのインタビューをとおして明らかにしているので、ハルキストにとっては必読本といえよう。ところで、書名の「我々が読ん2019/01/24
SOHSA
34
《図書館本》NHK「英語で読む村上春樹」講師を務めていた著者の村上春樹に関する本ということで読む前からかなりの期待を持っていた。内容はまさに期待どおりの充実したものだった。今や世界的な小説家である村上春樹の作品についてなぜそれほどまでに世界で認められるようになったのか、それは単に村上作品の秀逸さだけではなく、翻訳家や編集者など周囲の人々の努力と協力そして少なからず幸運が要素になっていたことがよく理解できた。翻訳とは単に原作に忠実に訳すことではなく、翻訳先の言語世界でいかに理解されるか売れるかを(→)2018/12/07
ぐうぐう
34
現在、世界でもっとも読まれている日本人作家が村上春樹であることは、誰もが認める事実だろう。しかし、村上春樹がどのように世界に紹介され、評価を得て、人気作家となっていったかは、意外と知られていない。本書は、いかに世界がHaruki Murakamiを発見したかを、関わった翻訳家、編集者、装丁家、エージェント等々に直接取材し、ブレイクスルーを果たすまでを追ったノンフィクションである。もちろん、村上春樹本人へのインタビューも敢行している。(つづく)2018/10/02
おさむ
31
いかにしてHARUKI Murakamiは世界的な人気作家となったのか?その謎を丁寧な取材で浮き彫りにしています。プロモーションや出版社、編集者、タイミング、翻訳者の力量と熱意‥‥。さまざまな要素がうまくからみあった成功だったんですね。グローバル化が進んだとはいえ、文学作品が超えなくてはならないハードルはまだまだ高いんですね。翻訳版は短縮されたり、中身を変えられたりしているのだそうです。昔、1冊だけ講談社の英語版を読みましたが、日本人向けの本だったことを初めて知りました笑。2018/11/03
aloha0307
19
数年前、NHK”英語で読む村上春樹”でナレーターを務めた辛島さん 内容は村上作品の読解と思ったら、ちょっと違いました。世界のMurakamiとなったのは、出版社(講談社アメリカ ではやはり...)、編集者(「普通、透明で認識されない」)etc出版に関わった人々の熱い思いゆえだったのですね。本書で頻出の voice という単語~nativeはこうやって(敢えて訳せば 伝えたい表現の中核・芯 かな?)使うのだね。2018/12/16
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