内容説明
切られた髪、竹の花、熟れすぎた果実。絶妙の小道具たちが、男女の陰影深い感情の震えに、鮮かな輪郭を与え、そのとき、みずみずしい生命感をたたえた日常の中に、ふと非日常と幽冥の露頭が現出する。異空間へ踏み出そうとする情念の快い緊張、不安、期待……。強い美意識に貫かれた、珠玉の9短篇。毎日出版文化賞受賞。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
新田新一
30
1969年に芥川賞を受賞した田久保英夫の短編集。男女の心と体の触れ合いを、瑞々しく官能的に描いた作品が収録されています。エロチックな場面が比較的多いのですが、それが享楽的なものや歪んだものにならないで、人間の生の揺らぎや不確かさにつながっていく書き方に惹きつけられました。自然の描写が美しく、人の心と体に結びついたものとして表現されています。「羽搏き」は結婚したばかりの男女を描いた作品。自宅の雨戸に小鳥が巣を作り、二人の間に微妙な変化が。妻が見た幻を夫も目にして、二人の心の開放が暗示される詩的な結末が絶品。2024/11/16
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