生存する意識――植物状態の患者と対話する

個数:1
紙書籍版価格
¥3,080
  • 電子書籍
  • Reader

生存する意識――植物状態の患者と対話する

  • ISBN:9784622087359

ファイル: /

内容説明

植物状態と診断された患者たちが、fMRIを通じた問いかけにYesとNoで答える──「意識」の枠組み自体を揺がす緊迫の脳研究。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

アキ

94
脳障害により反応も見せない患者のうち、約15〜20%に完全に意識があることをf MRIを用いて発見した。病前には寝たきりになれば延命の希望はないと言う人たちが多いが、閉じ込め症候群となった患者のうち死にたいと答えたのはたった7%に過ぎない。本書は植物状態の患者の研究者である著者の元恋人であるモーリーンが突然病に倒れ、植物状態となり、彼女を検査した時の複雑な感情、本書発刊時に突然の訃報に胸を動かされるエピローグで感慨深い書になっている。脳の研究は未解明の事があまりに多く、奇跡的な回復も死も隣り合わせなのだ。2021/08/15

Koichiro Minematsu

51
脳機能が損傷され命は助かったものの、自らの意思で反応がない状態を植物人間という。本著ではグレー・ゾーンと言い、著者の研究の集大成が述べられているが、意識があり会話をできるとf MRIで正当性を証明し、人間の神秘に迫っている。結果で言えばグレー・ゾーンの13.4%には意識があったことになる。倫理的側面にも触れられており、勉強になった。2020/02/24

くさてる

35
「植物状態」と診断された患者に、最新の脳スキャン技術を用いることで、かれらの中に知覚や認識能力があることを証明した著者による一冊。「意識がない」はずの患者のなかにたしかに息づく感情があることが発見される流れは感動的だけど、すぐに、この発見がもたらす倫理上の課題や疑問を目の当たりにして言葉を無くすような思いになった。植物状態と診断されぴくりと動くことすらない患者が、自分の意志で応答できると分かったときに「あなたは死にたいか?」と聞くべきだろうか。そんな問いに、著者は真剣に取り組んでいる。お勧めです。2020/08/01

内島菫

19
本書は「植物状態」と診断された患者の意識を、脳という体内宇宙の暗闇の中へ探求してゆく過程であるが、科学にありがちなそうしたグレイ・ゾーンに白黒をつけることを目指しているわけではなく、グレイ・ゾーン自体を肯定している。著者は、自分たちがしていることは、「意識そのものではなく、意識があるという経験に関連する脳の変化を計測している」と自覚している。だから最新技術によっても脳の応答を計測できなかった患者がその後回復することもある。意識は常に科学に先んじ、するりと技術の網をすり抜ける。2019/09/05

にしがき

18
👍👍👍👍 著者は、植物状態(グレーゾーン)にある人の脳をスキャンして意識があるかを研究している。全く反応がない人でも意識ある場合がある。読んでいて感動すると同時に、ヒヤリとする気持ちになる。自分だったらと思うと… 著者は、実験を通して「意識」についても掘り下げる。意識とは、自分が何者かである という感覚。2019/10/10

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/13093697
  • ご注意事項

最近チェックした商品