内容説明
2016年、ペルーはブランカ山群。山岳カメラマンの真山道弘は単身シウラ・グランデ峰を登っていた。10年前、クレバスに置き去りにしてしまった親友・樋口友一を迎えにきたのだ。クレバスの底に降り立ち、樋口を見つけ出した真山だったが、遺体の顔を覆う氷雪を落として驚愕する。極寒のクレバスに閉じ込められた遺体は、歳を取ることなく凍りついてしまうはず。しかし、樋口の顔は明らかに10年前より老いていたのだ!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
三代目 びあだいまおう
297
『生還者』に続き大切な読友さんからのご紹介。今度の謎は『死体が死亡時よりも明らかに年を取っていた』という信じられない事実!10年前に親友と挑んだ山岳氷壁、不運でクレバスに落ち遭難した友を置去り、下山を余儀なくされる。激寒と低酸素、もはや人類の生存不可能な地球最高峰レベルの山では瞬時の判断が生死を分ける。時を経て友の遺体を回収に向かった!友の遺体が明らかに年を取っている?山に魅せられ征服への挑戦に命を掛ける男達の感動山岳ミステリー。謎は見事に溶け美しい友情が残る。エピローグで辿り着く真実は実に切ない‼️🙇2019/12/07
イアン
154
★★★★★★★★★☆『生還者』に続く下村敦史の山岳ミステリ。10年前、滑落事故によりクレバスに置き去りにした親友・樋口の遺体を回収するためシウラ・グランデを訪れた真山。しかしそこにあった亡骸は明らかに10年前より年老いていた…。樋口は生還していたのか。その後に目撃された樋口に似た登山スタイルの男の正体とは。プロローグで強烈な謎を突き付けるが、山に魅せられた男同士の友情にこそ著者の熱量が注がれている。謝辞に名前のある山岳カメラマンの中島健郎氏が今年7月にK2で滑落死したと知り、本作の結末以上に衝撃を受けた。2024/11/05
chiru
123
『お前はなぜ生還しながらも死者となったんだ?』魂を揺さぶるすごい小説だった。そしてクライマーたちの熱い人間ドラマを描いた最高傑作でした。仲間を守るため自らザイルを切りクレバスに落ちていった樋口。10年の時を経て彼の遺体を迎えにきた真山は目を疑う。彼は明らかに歳をとっていた… 二度死んだ親友、歳をとる遺体の謎、心に生じた小さな疑問から驚愕の真相を手繰り寄せ、樋口の謎の全てが氷解して『絶望』は『希望』に変わっていく。読んでよかった…心からそう思えるほど命の輝きが込められた小説でした。★5↑↑↑2022/02/08
じいじ
102
事故なのか?殺しなのか?昂奮しながら読んだ『生還者』につづく下村敦史の長編山岳ミステリーの第二弾。10年前にクレパスで滑落死したはずの親友が、その直後5年間も生存していたことが…。何故?どうやって!謎だ。ヤツは、同じクレパスで二度死んだことになる。—もう、これ以上書けません。山男たちの熱い友情で結ばれた人間ドラマは、手に汗する読み応えです。2018/10/31
アッシュ姉
90
著者五冊目。同じ山岳小説でもミステリとして読ませる『生還者』から趣を変えて、山に魅せられた男たちの矜持と絆を描いた熱い物語となっている。登山の知識もないし興味もさほどないのに、ぐいぐい惹きつけられて、ぐんぐん読めちゃう。雪山なんて経験ないのに情景が浮かんでくる下村マジック。映像化しても見ごたえがありそうだが、キャスティングや制作費を考えると難しいか。それよりも山岳小説第三弾が出ることに期待したい。2019/11/27
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