内容説明
20世紀最大の作曲家のひとりであるバルトーク(1881-1945)。彼はまた、ハンガリーやルーマニアなど中欧・東欧の各地で民謡を採集するという、民俗音楽研究者としての顔をもっている。音楽が無調へと向かい、より抽象化していく時代の中、バルトークはなぜ、そしていかにして民俗音楽を採集するのか? 本書は彼が自ら採譜した民謡を楽譜つきで紹介・考察した論考のほか、コダーイ、ドビュッシー、ラヴェルなど同時代の作曲家についての批評、ハーヴァード大学で行われた講義録など計15篇を精選。文庫オリジナルのアンソロジー。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
やま
9
音楽関係の友人に勧めまくっている本。民族音楽の収集のところは、宮本常一と気が合いそうだし、リストへの偏見から巡礼の道を知ってからの傾倒も納得する。後半の音楽論で音楽ばかりでなく絵画などに言及するところに至るところも面白い。残念なのは、8回は予定されていた音楽講座も3回でバルトークの病気で終わってしまったこと。続いていたら残りは何を語ってくれただろうか。2018/11/06
しんすけ
9
システム設計の観点からも学ぶところが多かった。それはバルトークが優れた教育者でもあるからだろう。1943年にハーバード大学で行った連続講演に下記が観える。/私は新しい理論を前もって作り上げておくようなことをしたことはありません。私はそのような考え方を嫌ってきたのです。...計画は新しい作品の精神に関わり、また技術的問題..にも関わるのですが、すべては多かれ少なかれ直観的に感覚されるものです。/ p241 バルトークは20世紀初頭の音楽革命の潮流の中の人だったが、革命を20世紀の古典に仕上げた人でもあった。2018/10/03
きぃ
3
民俗音楽の大家・バルトーク・ベーラの論考集。譜例も多くとても勉強になった。「ブルガリアン・リズム」の項が特に興味深い。単純という印象がある民謡がこんなに複雑な拍子を持っていたとは。思えば伊福部昭の有名な「ゴジラのテーマ」はアイヌの音楽を参考にしていて4/4→4/4→4/5となっておりその即興性を活かした不安感を作り上げている。律動と民俗性については伊福部昭も著書で多く語っている通りであり、世界的に見ても興味深いテーマであることがわかった。2020/07/01
ハエドリ
3
この人は情熱的で理論派だなぁ。民族音楽収集・研究に様々な地を訪れ、その音楽の生まれた道すじを考える姿がとても生き生きと書かれていました。譜面が充実していて嬉しいけど、研究の考察の詳細を知りたいところ。2018/09/21
ひでお
2
バルトークの音楽にはちょっと難解なものもあるのでとっつきにくく思っていましたが、民族音楽研究者としてのバルトークは、理路整然としたぶれない説明が面白い。譜例もたくさんある(全部は読み解けないけれど)ので、頭で音を鳴らしてみたりできます。現代音楽は、シェーンベルクくらいまでしかたついていけないけれど、こうやって理論を語られると引き込まれますね。積極的に聴くかというと・・・なかなか難しいですが。2019/02/07
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