内容説明
恋と政治に揺れる東大生を活写した青春小説。
昭和20年代後半、文学への志を抱えながらも東大・経済学部に進んだ倉沢明史は検事である父の呪縛に抗いながら、己が人生を模索していた。
朝鮮戦争、血のメーデー事件、米国によるMSA援助の見返りとしての日本の再軍備問題と、時代は熱い政治の季節――。
その一方で家庭教師先の人妻・麻子に胸を焦がし、自らの欲望に悶々とする。そして、失ったはずのかつての恋人・棗との再会。
“内向の世代”を代表する作家・黒井千次が「春の道標」の後日譚として、彷徨する生真面目な青年の内面を繊細に描いた自伝的青春小説の完結編。復刻記念に著者のあとがきを特別収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
涼
48
http://naym1.cocolog-nifty.com/tetsuya/2025/07/post-2bb35a.html 【春の道標】の続編です。大学生になった明史は、当時の政治情勢には振り回されることなく、青春を謳歌しています。 そんな中、3年ぶりに棗と再会します。 この棗のその間の過ごし方が、素晴らしかったです。ある意味日和見的に過ごしてきた明史の心にも届いたでしょう。2025/07/22
メタボン
31
☆☆☆☆ 「春の道標」の方が純粋で良かった。ただ、大人になる過程の狡さのようなものが良く書かれていたので、面白かった。棗と結ばれるのはちょっと予定調和的で複雑な感想。2021/11/12
ドクショエフスキー
3
春の道標の続きです。 前作を読んでいなくとも、意味は通じるかと思います。ただ、棗はなぜワガママといいながらも明史に戻ろうとするのか、これは分かりにくいかもです。春の道標と違って、万人に受けいられる本ではないかもしれません。東大生の明史は高校の時ほど純粋ではありません。ただ、高校の回想シーンを含め、それでも心にビシビシと響いてきます。年上の女性への憧れ。でも、年下として軽く流す(とみせかける)彼女の仕草への怒り。美しい文体で最後まで一気に読めます。しかし、棗との駅での待ち合わせシーンは余りにも透明で美しい。
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