集英社文庫<br> 深重の海

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集英社文庫
深重の海

  • 著者名:津本陽【著】
  • 価格 ¥814(本体¥740)
  • 集英社(2018/09発売)
  • ポイント 7pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784087450064

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内容説明

【第79回直木賞受賞作】紀伊半島は南東部、太地湾辺りは古くから鯨取りで栄えた土地柄である。明治11年12月24日、熊野灘の沖に現われた一頭の巨大鯨。小舟に乗った数百人の男たちが立ち向かう。これが大遭難、世にいう“背美流れ”の発端となり、慶長年間からの伝統的な捕鯨組織が崩壊しはじめる。明治の激流に呑まれ、滅びゆく運命をたどる海人たち。愛と闘いをドラマチックに描いた感動の長編。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

遥かなる想い

176
第79回(1978年)直木賞。 明治時代、和歌山で 捕鯨を生業とする 孫才次たち の生き様を 描く。 重厚な物語だが、方言の多さが 正直 読みづらく 残念。 孫才次と ゆきの 淡い恋が なぜか 懐かしいが…最後は すべてが儚い、 そんな作品だった。 2018/08/19

kaizen@名古屋de朝活読書会

139
直木賞】主人公は鯨取りの孫才次。明治11年。太地。知っている地名だが、何県か忘れていた。地震という言葉で、和歌山県だということを思い出した。鯨取り、和歌山、明治という産業と場所と時代を理解できれば、中身も理解できそうな気がする。子持ちの背美は取ってはならぬ。参考文献2つ「熊野太地浦捕鯨史」「太地町年譜」。2014/05/27

クリママ

45
直木賞受賞作品。紀伊半島太地の鯨漁。最大級の海難事故、 大背美流れからの太地村の苦難を描いた作品。鯨の不漁、のしかかる借金、正月を迎えられないほど困窮した中で、たたりがあると言われる子連れの背美鯨を捕獲するが、黒潮に入り込んでしまう。海で闘う逞しい男たちの苦難、陸で父を夫を愛しい人を待つ人の悲嘆。棟梁の金策も頓挫し、その上に数々の苦難が重なっていく。鯨漁の説明が少なく、会話は方言であるため、わかりにくく読みやすくはないが、その方言ゆえ叙情詩のようにも思われた。逃れようのない衰退のなかに一つの純愛が光った。2018/08/31

F

29
明治11年12月24日、不漁にあえぐ太地の鯨方の前に巨大な背美鯨が現れる。荒れ模様の熊野灘に出漁し、死闘の末巨鯨を仕留めるが、彼らはいつの間にか黒潮の流れに乗ってしまっていた……。生存者わずか13名、餓死12名、行方不明89名という未曾有の大惨事〈大背美流れ〉と、伝統捕鯨の崩壊を描いた大著。79回直木賞受賞作/捕鯨は、文化などではなく、一命をかけた生きるための闘いに他ならなかったことを知る一冊。時代に翻弄され、そして凶事が重なり、伝統捕鯨に生きた人々の暮らしが崩壊していく姿がひたすらに物悲しい。2012/12/12

マリリン

28
表題通り深く重い作品だった。時は明治、紀伊半島で捕鯨に携わる人々の話だが、僧侶の夢に出てきた命乞いをする「腹子もち鯨」を捕獲してから、不漁や病災が続く。そんな中出漁中に現れた鯨は、子持ちの背美鯨だった。妖しい風向きや潮の流れなど次々に起こる不吉な現象に、殺した鯨を諦めるものの、漁に出た人々を襲う災い。主人公孫才次の家族や血縁、婚姻の契りを交わしたゆきなどに祟りのような不幸が降りかかる。終章が印象深い。方言が沢山でてくるが読みにくさはない。津本陽氏の作品は初読みだが、とても良い作品だった。2019/01/20

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