内容説明
世界をリードする日本の科学・技術。その卓抜した成果の背景には、「日本語による科学的思考」がある! 江戸から明治期、西欧から入る外国語の知を翻訳して取り込み、母国語の知識体系に位置づけなおしてきた歴史に遡り、また多くの科学者たちの証言を手がかりにして、この命題に迫る。そして、本来質の高い日本の科学が直面している問題に対峙、さらなる発展への道を提起する。ユニークな視点から解く、新しい「科学論」。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
tamami
49
幕末明治期、西周を初めとする科学者たちが、外国語文献中の事物や概念を日本語に翻訳し、以後日本は母国語で科学ができる世界でもまれな国となる。著者は、日本語それ自体に科学の進展に関して、有効な作用を及ぼす力があるのではないかとの仮説の下、ノーベル賞や周辺の科学者に焦点を当て、検証を重ねていく。著者の仮説が本物であることを願うと共に、真に創造的な物事は異なった文化の狭間に育まれるというもう一つの真理のためにも、最近の何でもカタカナ化される外国語を、より相応しい日本語に置き換える努力を、と声を大にして訴えたい。2021/07/12
isao_key
14
日本の創造的な科学者にとって、英語は必要であっても十分な武器ではない。最大の武器、それは日本語による思考なのだ、と著者は主張する。なぜ日本人は英語で科学をしないのか。その理由は、日本語の中に科学を自由自在に理解し創造するための用語・概念・知識・思考法までもが十二分に用意されているからだ、という。ここには江戸の蘭学以来の翻訳への取り組みの伝統があった。昔から日本は翻訳文化を持ち、優れた古典や新たな書物を日本語で意味を捉え理解できた。また知識啓蒙の役割を果たしている新書、文庫もアジアでは日本特有のものだろう。2015/07/22
Aki
8
筆者の主張する日本語による思考が英語による思考に優るのでは?という推論よりも、根拠として語られる多くの物語に筆者の科学ライターとしての蓄積が良く出ていると感じた。とても分かり易い近年の日本人科学者の業績が俯瞰されている。また改めて日本語で先端科学技術を含む全ての学問を学べる環境にあることを誇りに思う。先人のセンスと瑞々しい感性による日本語翻訳への努力に感謝。2015/02/27
Lila Eule
7
とても面白い。学究の先端の人々はしるよしもないが、地道で果敢に挑む姿と、成し遂げられた偉大な成果が、実は、日本語の科学としての成果であったものが多いと。この観察に未来が明るく感じられました。論文数を競ったり、アイデンティティーのないグローバル化など、百害あって一利なしの現状には未来が曇ります。でもネイチャーも面白い論文が減り、殻を破るようなものは日本人のものとの評に希望湧きます。「日本語の科学はすてたもんではない」とよくわかりました。2015/09/23
くわずいも
7
以前、母国語で読書する国は実はそう多くないという本を読み、今回は母国語で科学の学問や研究を行う国はそう多くないということを知り、改めて日本語を大切にしてきた祖先に感謝。母国語で考えるからこそ欧米では考えられない新たな発想が出て、その結果昨今のノーベル賞受賞に繋がるという説明に納得。言語が異なるお陰で今までの科学が発展してきたことを考えると、グローバル化は今後の科学の発展にとって障害になるのでは…ともあれ、科学ジャーナリストが書いてるので、文系ガチガチの頭でもそこそこ理解でき、楽しく読めた。2015/08/11




