内容説明
人類の播種船により植民された五星系文明。その主星である出雲は、人類外の無人衛星が発見された壱岐星系への介入を決定するが……。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
☆よいこ
83
宇宙SF(和風)。4000年前に地球から送り出された凍結受精卵を乗せた宇宙船は、1000光年先にある[惑星出雲]に2000年前にj漂着した。そこで人類は増え、文明を発達させ近隣の星系にまで広がった。出雲星系、八島星系、周防星系、瑞穂星系、壱岐星系の5つの星系で宇宙人類は栄える。4000年前に地球から脱出した理由は「異星人からの脅威から地球を守る防波堤としてあること」なので、宇宙人類は異星人を仮想敵として兵器を開発し戦いに備えていた。壱岐に異星人が来襲する▽政権争いと対異星人戦略。銀英伝を読み返したくなった2023/01/26
おかむー
78
“戦闘・戦術”よりも“戦略・政略”に特化した異色の宇宙SFミリタリーシリーズ第一巻。『よくできました』。地球からの播種船とか異星人の侵攻に備える五星系という舞台とかの設定よりも、タイトルどおりに“兵站”こそがこの作品の最大の特徴。「銀河英雄伝説」でも補給や戦略が重視されていたが、物資の生産・流通からそれに伴う星系間の政治的駆け引きまでがっつり描いたうえで、異星人との戦闘もことごとく理詰めで展開される。それを面白味と受け取るかは好みの別れるところですが、独特の渋みと解釈できて俺は楽しめましたよ。2019/05/01
パトラッシュ
69
「英雄の誕生は兵站の失敗」のセリフに象徴されるように、『銀河英雄伝説』へのアンチテーゼとして構想された作品か。補給や兵站がほとんど描かれない銀英伝に対し、こちらは戦闘の前段階である兵站確保のための政治的取引が中心だ。内政干渉ギリギリで工場を占領したり、非正規ルートを駆使して兵器をかき集める指揮官が事実上の主役であり、おかげで兵士たちは苦戦しながら辛くも勝利を得る。しかも戦場は艦隊戦ではなく、血と泥と死体にまみれた小惑星での白兵戦だ。どうしても物語は地味になるが、最後の衝撃の事実判明で次巻への期待が高まる。2020/09/02
fukumasagami
40
「凡人たちが英雄になろうとする。兵站の常識は無視され、冒険主義に走る指揮官が続出する。それにより多大な犠牲が生まれる。 冒険主義はすぐに終わるとしても、死ななくていい人材が無駄に死ぬことになるんだよ。 英雄でも凡人でも、人類には違いない。そして我々が守るべきは、その人類だ。そして無駄死にから英雄は生まれない。いや、それを英雄にしてはいかんのだ」2018/09/30
宇宙猫
32
★★★★ 戦闘も迫力あるけど、政権内や軍部内での権力の駆け引きなんかも面白い。「プロバビリティ」もそうだけど、相手のことが分からないのは怖くて緊迫感があって引き込まれる。漢字の長い名前が煩わしいが、ここまでするのは敵対勢力との関係性なのかと色々想像してしまう。なのでAFDやASなどが頻発するのに違和感だったり、内容と関係ない所で引っ掛かてしまう。2020/11/12