- ホーム
- > 電子書籍
- > 絵本・児童書・YA・学習
内容説明
1918年6月1日、徳島県鳴門市の板東俘虜収容所……。ドイツ兵俘虜(捕虜)たちによって、ベートーベン交響曲「第九」が、アジアで初めて全曲演奏されました。初演の背景には、俘虜に対する人道的な配慮を行った松江豊寿所長の存在がありました。彼はドイツ兵俘虜に対して、「彼らも祖国のために戦ったのだから」と、俘虜の住環境の改善などについて上官に粘り強く交渉し、最後までその姿勢、信念を貫いたのです。後年、板東俘虜収容所の元俘虜であったパウル・クライ氏は、次のように言っています。「世界のどこに、バンドーのような収容所があったでしょうか。世界のどこに、マツエ大佐のような収容所所長がいたでしょうか」。なぜ、鳴門市では「第九」を皆歌うのか。……本書は、主人公の転校生・愛子が感じたこの素朴な疑問に、ドイツ兵俘虜の「私」が当時を振り返る形で答えます。日本初の「第九」演奏会から百年にあたる年の記念すべき発刊!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
みーちゃん
37
この本では、戦争のとき日本と戦い負けたドイツ人の人たちが、板東俘虜収容所と言うところに送られました。でも、そこにはたくさんの自由がありました。例えば、当時海水浴など規則では、絶対してはいけませんが、「足を洗っている勢いで海水浴をしてしまうのなら、しょうがないな。」と海水浴を許してしまったりします。絵本なので、とても読みやすかったです。2019/11/22
ヒラP@ehon.gohon
23
年末に歌われる交響曲「第九」が日本で初めて歌われた事と、ドイツ兵俘虜収容所との関わり、それが百年も昔の出来事だったことを初めて知りました。 収容所というと過酷な生活を想像するのですが、なんともおおらかな、ひとつの文化圏のようにして存在したことにも驚きを感じました。 図書として紹介されていたならば、たぶんたどり着くことのない史実と、絵本を通して巡り会うことのできる幸せを感じた一冊です。 絵本はいろんな出会いを作ってくれます。2020/03/31
ヒラP@ehon.gohon
22
【再読】日本で、なぜ交響曲「第九」が歌われるようになったのか、知らなかったエピソードに触れることが出来ました。2021/12/28
ほんわか・かめ
18
憎しみは憎しみを生む。愛は愛を、信頼は信頼を生む。板東俘虜収容所の松江所長のドイツ兵の人権を尊重した行動が素晴らしい。その信頼に応えようと、自らに制約を課すという自由を選んだドイツ人俘虜もまた素晴らしい。第九が日本で初めて演奏されたのは福岡だと思っていたが、日本(アジア)での初演奏(収容所内だったため一般の日本人は聴いていない)が板東のようだ(1918年6月)。久留米に収容されていたドイツ兵捕虜による演奏で一般の日本人が初めて曲を耳にしたのが1919年12月だそう。2022/11/26
絵本専門士 おはなし会 芽ぶっく
16
4年生ブックトーク授業 芽ぶっくのおすすめ本 最低2冊は読む宿題をだしたので、絵本中心に選書しました。(長いおはなしはちょっと…な子が多いので) 徳島県鳴門市は毎年6月に第九のコンサートがある。第1次世界大戦、敗者ドイツ兵を、板東俘虜収容所に収監した時、責任者である松江大佐は彼らを人道的に扱ったことから。著者のくすのきしげのりさんは、今も板東に住まわれているそう。来年2月に絵本の里大賞授賞式にお越しになる予定なので、ぜひおはなしを窺いたい。2019/12/11