内容説明
福栄銀行の預金係・安川信吾は、現金500万円を横領、ホステスの啓子と逃亡する。安川は、脱税者名簿とも言うべき裏帳簿も同時に持ち出し、銀行と取り引きするが、銀行の裏切りで逮捕される。だが肝心の裏帳簿を持って啓子は行方不明に。啓子の行方を追う、安川の友人の知念と田村。彼らの前に現れた謎の金融業者・須原庄作の正体とは!? 金融業界の暗部を抉る問題作!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
NAO
64
表にはだせない隠し口座の金を狙った横領の話というと『黒革の手帖』がまず思い出されるが、『黒革の手帖』は1980年作で、この『彩霧』は1964年作。清張は、この犯罪を扱ったものとしてまず『彩霧』を書き、改めて『黒革の手帖』を書いた。主人公が隠し口座のリストを記したのもどちらも黒革の手帖で、黒革の手帖は、清張にとって「表沙汰にできない、社会の闇」の象徴なのだろう。安川はパッとしない人物として描かれており、前もっていろいろと計画していたらしい割には、やっていることが雑だし、あまりにも他人を信じすぎる。⇒2021/07/27
TATA
35
母親文庫から。初版は昭和50年、作品の舞台は更に前で、新幹線も走っていない時代。銀行の資金を行員が拐帯したことから始まる。事態は友人、高利貸し、果ては温泉芸者も巻き込み広がっていく。銀行の放漫経営を批判していると理解すべきかもしれないが、全体に作品としての深みには乏しい印象。ただ、当時の世相などが垣間見れて、そちらの方に興味がそそられました。2020/11/09
金吾
27
△途中期待値は高まったのですが、ややトーンダウンしました。小物感満載でした。2025/04/09
竹園和明
17
魑魅魍魎たる金融界のウラの世界を抉った作品です。銀行の急所とも言うべきウラ資料を握り所属する銀行を脅した人間、彼との取引を反故にし裏切る銀行、それらを鳥瞰した位置から私欲のために駒を動かす金融界のフィクサー…と、二転三転する変化が白眉。細かいプロットにやや強引さはあるものの、ガラス張りとは到底言い難い金融業界の一端を覗いたようで面白かった。この業界にはこんな感じの怖い裏世界が実在するのだろう。結局は“実力者”が勝者となる世界。世の中の縮図を見るようでやるせない感じ。2015/10/08
ランラン
7
出だしはこの先どうなっていくのか想像するとワクワク感があったが意外な展開にやや未消化感は残った。2021/05/14
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