内容説明
選挙に出馬する義弟の不透明な資金3000万円を持ち逃げした木谷省吾。逃避行の間に温泉旅館の女中・お篠から、群馬県比礼神社の、農作物の出来高に関する占いがよく的中するという話を聞く。木谷は占いに従い小豆相場へ投資、大儲けをする。そして新しい人生を始めるため、さらに大きな利益を狙うのだが……。騙し騙され、人間の欲望が渦巻く超一級のサスペンス!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
NAO
66
選挙にまつわる不透明な資金を持ち逃げした木谷。盗んだ金を元手に小豆相場に投資して巨額の金を手に入れる。木谷は誰も自分のことを告訴などできないとたかをくくっているが、告訴できないにしても、いや告訴できないからこそ、必ず探し出して復讐されるとなぜ思わなかったのか。また、出どころが怪しい金については、自分がしたように、横取りを狙う者がいると、どうして思わなかったかったのか。こういった危ない金を扱うには、木谷はあまりにも単純で、世間知らずすぎたようだ。2020/02/11
きのこ
22
久々の清張ワールドは、善人が一人も登場しませんでした。妻子を捨てて金と女に走っちゃだめだよ、木谷君。540ページ、堪能っす。2020/08/04
みっぴー
12
三千万で人生をやり直そうとする主人公木谷。タイトルを見て、法律系の話を想像していたのですが、経済というか、相場の話でした。んー難しくてあまり理解できませんでした。今まで読んだ松本清張とはかなり作品の雰囲気が異なるように感じました。妻子を捨てて1人旅に出た木谷に感情移入できず、結局文字だけを追う結果に…(泣)2015/05/10
jima
10
選挙資金3000万を持ち逃げ。小豆相場に投資。2022/11/14
koji
9
最近になって清張フリークになりましたが、膨大な作品群の中からどれを選ぶかは結構頭を悩ませます。「告訴せず」は、貴志佑介さんが「エンタテインメントの作り方」で傑作と紹介していたので手に取り、一気に読んでしまいました。落後者の物語ですが、主要人物に善人が登場しません。どの人物も一癖あります。さて小豆相場や古事記の太占に関する噛み砕いた詳しい解説を読んでいると思わぬ知識を得られるメリットが清張文学の美味しさです。また貴志さんも言っているように、私も悪者に感情移入しました。青島幸男の映画も見てみたいですね。2015/10/28