内容説明
しなやかな体躯、きらきらと光る瞳、可愛らしい耳とヒゲを持つ愛嬌のある顔。猫という生き物は、非常に美しく人を魅了して止まない。猫はときに人に寄り添い、通じ合う存在であり、ときに人には理解し得ない表情で、畏怖と信仰の対象となる。いずれにせよ、猫はいつでも人の傍らに生きてきた。その証拠に、猫と共に語られる物語はこんなにも楽しく、切なく、愛おしいのである。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Hideto-S@仮想書店 月舟書房
74
猫のルーツは約6500万年前に登場した肉食の哺乳類で、今の猫の始祖が誕生したのが30万年前とのこと。猫はずっと猫だったはずなのに、神格化されたり悪魔の化身と見なされたり苦労が絶えなかったようです。欧州でペストが大流行した14世紀以降、感染源の鼠の捕食者として見直されるようになり、人間の〈隣人〉としての地位が安定したらしい。猫に関する歴史や神話のエピソード、民間伝承などをまとめた本。『長靴を履いた猫』が描かれた背景、〈招き猫〉の起源、化け猫〈猫又〉の怖い話、猫にまつわる諺の検証など興味深い雑学が満載です。2015/04/18
sora
30
この表紙のネコの眼差しに惹かれて読みました。外国の猫の話より、日本の猫の話が面白かったです。特に猫神(山形県の猫の宮・岐阜県高山市の猫石・宮城県田代島・新潟県栃尾市猫又権現)の話や化け猫の話。有名な鍋島の猫騒動も書いてあります。猫の事典みたいな本です。2014/02/27
みけ
12
猫は唯一人間が、共に過ごしたいという感情から飼育を始めた動物…らしいが、古代エジプトでは神と崇められつつ生贄にされ、崇められていた故に中世ヨーロッパでは魔女の使い魔として処刑された。猫にとって人間は善き隣人ではなかった様。愛らしい見た目、夜行性で夜に輝く瞳、蛇の様に動く尻尾、鼠や蛇を捕え農作物を守り、獲物を痛ぶり殺す…そんな特性が人間を魅了し、神秘性を与え、神話に幅と厚みをもたせていた。アイルランドの、人間の間で生きながら自分達の王国を持ち人語を話すというケット・シーの話は是非詳しく調べたい。2019/01/19
ちる
7
猫の神話、伝承などを集めたもの。第一章には猫の旅路と題して、家猫のルーツが解説されています。古代エジプトから海や陸路によって世界に広がり、やがて日本へ。人とともに生きる猫は、時代によって迫害などの苦難を受けつつも、人に愛され畏怖され信仰され、数々の物語を生み出した。世界で語られる猫の物語は実に様々で、いかに猫という生き物が古の時代から人に近いところで生きてきたか感じさせられます。いい話、悲しい話、不思議な話など、多種多様な伝承が紹介されているので読み応えも充分です。2014/01/28
天々
6
にゃんこ物語。歴史の中でいろいろな扱いを受けて今に至る。やっぱり「長靴を履いた猫」よね。2014/04/13