内容説明
敗戦70年を迎えるあたりから、戦後思潮を問い直す従来の動向を大きく乗り越える著作が世に問われるようになった。そこでは戦後史の「正体」や戦後日本の「核心」が焦点になっている。
ここで分析の俎上に載せられるのは「戦後日本の国体」(篠田英朗)である。暗黙の前提として受け容れられてきた日本国憲法と日米安保条約からなる戦後体制に根本的な疑義が突きつけられるようになったのである。
「一五年安保」における国論の混乱は、こうした疑義に拍車をかけている。
本書は、「戦後民主主義」の旗手とされる丸山眞男の思想と行動を辿ることで、この問題を捉え直そうとする試みである。
戦後の「政治の季節」に颯爽と登場して以降の丸山像は果たして実像を反映したものなのだろうか? 彼の人民主権理解はいかなる過程で獲得されたものなのか? 「六〇安保」以降の日本政治思想史講義はいかなる射程を有していたのか?
本書では、処女作「政治学に於ける国家の概念」以降の丸山の論文、座談、書簡、講義録を広範かつ詳細に検討しながら、これらの問題に明解な回答を与えていく。その先に戦後日本と未来の新たな形が浮かび上がる。渾身の書き下ろし。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
77
この著者は結構経済評論で、リフレ派に対してエキセントリックな言論をされていますが、この丸山眞男についての評論はかなりその著作を読みこんでいることを感じました。丸山教のようにすべてを崇拝するのではなく時代に応じての彼についての批判などもあり読んでいた私にはぴったりするところが多かったように感じました。2018/12/21
軍縮地球市民shinshin
9
著者はジャーナリスト。丸山真男が好きなようで、結構読み込んでいる。僕は丸山については例の「超国家主義…」など数点の論文を読んだのみだが、結構丸山のことを誤解していたことに気付いた。丸山は戦前陸軍に睨まれていたことから反軍になり、そこからそれらに抵抗した共産主義にも親近感を抱いたのだろう。丸山というと礼賛派が多いが、本書を読んで少し冷静になったほうが良いと思う。安保条約そのものには丸山は言及しておらず、岸内閣の強行採決に反対したというのは知らなかった。2019/04/07
Yasuhiko Ito
5
戦後リベラルの教祖、丸山眞男の著作を通して、丸山の先見性と共に、彼が見誤った時代の流れを追いつつ、戦後日本の国体形成の過程を紐解くといった感じでしょうか。内容的には池田さんの「戦後リベラル終焉」と重複しており、まあ、そちらを読めば十分という気もします。2018/09/13
朝ですよね
0
戦後日本の国体という表題だが、丸山の指摘する「古層」の強さは戦前以前からのものだ。敗戦にて主権が天皇から国民に移ったものの、強いリーダーを好まない国民が神輿を担ぐ性質は戦前から変わらない。本書は1945年の終戦から1960年の安保闘争ぐらいまでの左派知識人の言説を批判的にまとめたものでもある。丸山眞男自体は共産主義者ではなく、マルクスの弁証法的な革命を支持しただけと感じた。労働者が豊かになり革命が敬遠されるようになったのは、丸山にとっても意外なことだったようだ。2020/11/22
bassai718
0
ノビーの本なんでどうかなと思ったが期待以上に面白かった。日本の古層である既成事実への屈伏が憲法改正への障害となったという指摘は重要と思う。2019/11/14




