内容説明
本書は、大正6年アメリカ、フィラデルフィアのクエーカー教徒エスター・ローヅが、21歳で東京の普連土女学校の教師として、同時に宣教師として来日し、クエーカーとしての揺るぎない信念に支えられながら、時代の大波の中で日米の架け橋となった生涯のエピソードを、普連土学園の教師と生徒の対話を通じて明らかにするものである。
第二次世界大戦中には米国内で繰り広げられた「日系人強制退去命令」による収容キャンプで日系人の支援活動に関わり、また戦後再来日すると、ララの駐日代表の一人として米国からの食糧をはじめとする支援物資の配分や施設訪問などで日本各地を訪れ、困窮する日本を救援するとともに、普連土学園の教育の発展にも尽力した。さらに当時、皇太子の英語教師であったヴァイニング夫人の後継者として皇室とも深い関わりをもった。
ここに改めて、感謝を込め、エスター・ローヅの日米親善に尽くした生涯を振り返るものである。
目次
一 新渡戸稲造、内村鑑三とクエーカー
二 普連土女学校とエスター・ローヅ
三 第二次世界大戦中のエスター・ローヅ、その在米日系人救済活動
四 ララ物資による日本救済
五 皇室の家庭教師に
六 ローヅ校長、悲嘆から帰国へ