内容説明
私たちはなぜ偏見をもち、差別をしてしまうのでしょうか? 私たちの社会はどのような偏見や差別に関する課題を抱えているのでしょうか? 第1部では偏見や差別が起こる心理メカニズムを解き明かし、第2部では現代社会のさまざまな領域での偏見や差別の現象を心理学的アプローチを用いて分析します。偏見や差別の問題に、心理学はどのように迫り、解決への道筋を示すことができるのか。第一線の研究者が解説した決定版。
目次
第1部 偏見・差別の仕組み――心理学の理論と研究から読み解く
第1章 ステレオタイプと社会的アイデンティティ
第2章 公正とシステム正当化
第3章 偏見・差別をめぐる政治性―象徴的偏見とイデオロギー
第4章 集団間情動とその淵源
第5章 偏見の低減と解消
第2部 偏見・差別の実態と解析――さまざまな集団・社会的カテゴリーに関する偏見と差別
第6章 人種・民族
第7章 移民
第8章 障害
第9章 ジェンダー
第10章 セクシュアリティ
第11章 リスク・原発
第12章 高齢者
第13章 犯罪
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
テツ
29
偏見は誰にでもあるし差別は誰でもする。この世に一人の例外もなく絶対に誰でもしている。それを外に出すか出さないかの差があるだけだ。まずそれを自覚し、自分の中にも差別の芽があるということを受け入れてから全てが始まる。心理学的な側面で噛み砕いてわかりやすく説明してくれている本書は、そうした自分の中にある差別意識のメカニズムについて知ることができる。社会とぼく。社会の中の立ち位置、階級、階層。そうしたものをぼくが受け入れた瞬間に無意識のうちに差別的な視線も生まれる。まずは自覚すること。そうしなければ止められない。2019/07/01
zel
9
読みやすいけれど、なかなか読めず。残念。流し読みのところも。自分の意思と関わらず偏見や差別をしてしまうかも。そうならないように意識していきたい。低減させていきたい。2021/04/14
tuppo
3
人は環境に適応していくため環境が固定化すると異なる環境で生活することが困難となる。急に異なる環境におかれてもどのように振る舞い人とどう接していいかわからなくなるのはごく自然のことだろう。閉ざされた社会の中で個人が能力をつけたとしても分けられた社会の間んには不安や恐怖といった感情的な障壁が立ちはだかる。社会から障害者をピックアップし障害者の世界を作ることはその人たちを外で生活できない障害者にさせてしまう。2023/01/31
lovekorea
3
読めば読むほどに偏見や差別の解消は難しいと再認識できますが、それでもなお取り組むべき課題で、また、こういう書籍により少しでも未来が明るくなればと思わざるを得ません。 このような良書が、Twitterでバカみたいな差別をばらまく輩に届くと良いのですが。2021/02/19
吃逆堂
3
社会心理学の観点から、差別や偏見が発生する構造を説いた書。前半の総論的な部分に加えて、後半には人種差別や性差別などの各論が付されており、それぞれのメカニズムが理解しやすい。読みなれない分野だったために読むのに時間がかかったが、目からウロコの話がいくつもあった。構造を理解すれば、自覚的に臨めることも多かろう。より多くの人に読んでほしいと思ったが、そのためにはもう少し平易なものが必要か。2020/10/30




