内容説明
この一冊で、エラリー・クイーンの“X・Y・Zの悲劇”に挑戦!
推理とユーモアがせめぎ合う、倉知ミステリーの真骨頂がここに。
歌舞伎俳優の家に生まれたものの若くして映画俳優に転身、世界的な人気を博す名監督の映画や時代劇テレビシリーズなどに主演し、日本に知らぬものはないほどの大スターとなった片桐大三郎。
しかし古希を過ぎたころ、突然その聴力を失ってしまった――。
役者業は引退したものの、体力、気力ともに未だ充実している大三郎は、その特殊な才能と抜群の知名度を活かし、探偵趣味に邁進する。
あとに続くのは彼の「耳」を務める新卒芸能プロ社員・野々瀬乃枝(通称、のの子)。
スターオーラをまき散らしながら捜査する大三郎を必死でサポートするのの子。
異色コンビが挑む事件の真相は?
クイーンの「ドルリー・レーン四部作」を向こうに回した、本格ミステリー中篇四作をこの一冊で。
〔収録作品〕
冬の章 ぎゅうぎゅう詰めの殺意
春の章 極めて陽気で呑気な凶器
夏の章 途切れ途切れの誘拐
冬の章 片桐大三郎最後の季節
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
オーウェン
53
時代劇の大スターである片桐大三郎。しかし耳の病気で聞こえなくなり引退。そんな片桐に声を伝える新人の秘書野之瀬が今日も事件を解いていく4つの中編集。とにかくこの片桐大三郎というキャラが秀逸。監督とセットにされているのは明らかに黒澤監督と三船敏郎がモデルだろう。そしてこのタイトルはクイーンのオマージュ。Xの悲劇やYの悲劇などを読んでいればより楽しめる。豪快な謎解きにはツッコミどころはあるが、時折ハッとさせる犯罪模様などよく出来ている。このキャラは他でも活きると思うので、ぜひ猫丸先輩みたいに続編作ってほしい。2024/12/02
TAMA
28
久しぶりに読んだ「星降り山荘」をはじめ、今年は倉知氏作品に恵まれました。本作に関してもとても分かりやすい仕掛けがあるけど、それは読んでからのお楽しみ。オマージュ作品のようですが、知らなくても楽しめますが、2作目までがちょっと助長過ぎるのだけが珠に瑕。2018/11/13
アプネア
24
聴覚を失ったことで引退した時代劇のスターは、その知名度を武器に耳役の助手を引き連れ、探偵道に邁進する・・・。クイーンの<レーン4部作>を再読したので、記憶もあるうちに、こっちも再読してみました。面白かった。ニコチン・ マンドリンなどの数々のモチーフや最後のアレを逆手に取り、別の仕掛けをしたりと、今回はより堪能できたと思う。こっちのXYZも最後の布石になっていたんだなあ。2021/03/16
Norico
23
誘拐の話はつらすぎる。そして最後の話はすっかりだまされました。2020/01/03
hnzwd
20
だれかをモデルにしたような元銀幕の大スター片桐大三郎を探偵役に、冬→春→夏→秋と季節ごとに起こる事件をまとめた短編集。耳が聴こえない大三郎の耳となるのは秘書によるPCでの同時通訳という。。設定を活かした感じのうまさを感じました。2022/05/26
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