内容説明
自分の屋敷で、庭に咲いた桜をながめながら静かに酒を酌む、それが長谷川平蔵のような武家の花見ですよ。ワーッと上野や飛鳥山へ繰り出して大騒ぎするのは、もっぱら下町の長屋の連中~「鬼平の花見」より。――握り鮨の起源、昔の船宿、大石内蔵助の好物の牛肉、お女郎に教わった朝飯、鯉料理など。時代小説の人気キャラクター達が生きる江戸の風物や食文化が鮮やかに蘇る。食通作家の粋なエッセイ集。
目次
一章 鬼平の花見
二章 江戸の味
三章 梅安の暮らし
池波正太郎略年譜
収録誌・単行本
巻末イラストエッセイ――矢吹申彦
編者解題――高丘卓
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
120
鬼平の花見と江戸の味と梅安の暮らしという3つの章立てで出来上がっています。主に食べもの関連の話が多く、正太郎さんのず必で読んだかなあと感じるものもあったりしました。ただ私は何度読んでも面白く、鬼平と梅安はやはり何度読んでも飽きがこないのと同じです。でも当時の話は遠くなりにけり、で懐かしい感じがします。2018/07/28
ポチ
59
大切な友から頂いた一冊。鬼平や梅安の居た江戸の街を、昭和の良き時代の住人、池波さんと一緒に散歩しているようでした。腹が空いたら蕎麦を食べ、大川に浮かぶ舟行燈をつけた小舟を眺める。いいなぁ〜!粋な池波さんのエッセイです。2018/09/27
saga
53
著者没後に編集された、聞き書きも含めたエッセイ集。それもあってか、先日読了した『散歩のとき何か食べたくなって』と重複する話もあった。若くして劇作家となった池波さんだが、『鬼平』はあまりに若い時分には書くものではないという考えには感心した。鬼平梅安に共通し、池波さんのこだわりを感じたのは、やはり食文化だ。江戸のころは旬の食材を使うことが当たり前。食べ物を小説の中に描くことで、季節を感じさせる。しかし、現代では食材で季節感が伝えられないようになっているのだ。2023/01/22
酔拳2
43
この本のタイトル最高じゃないっすか⁈休みの日は撮りためた鬼平か、剣客商売(あと御家人斬九郎)を見ながら、昼間からぬる燗で一杯やってる俺としてはなかなかにいい本だった。池波正太郎先生のエッセイ。時代考証をしつつ、本編に料理の話を差し込む、池波先生ならではのお小言。読んでるとまた酒飲みたくなっちゃうんだよね。また語り口調なのがいい。直に先生の話を聞いているような気分になれる。花見とか女郎とかお銚子と徳利の違いとか。2019/11/27
なななな
16
読みやすいエッセイです。禅関連のエッセイや茶道の本とも通じるところがあり、「なんか読書って確かに年をとるとまた楽しみが増えてくるものなのね」とうれしくなりました。2019/04/04