内容説明
「死」。それは古今東西、あらゆる思想家、宗教家が向きあってきた大問題である。「死ぬ」とはどういうことなのか。「あの世」はあるのか。「自分」が死んだら、「世界」はどうなるのか――。先人たちは「死」をどう考えてきたのか、宗教は「死」をどう捉えているのかを踏まえながら、人間にとって最大の謎を、稀代の思想家が柔らかな筆致で徹底的に追究する。超高齢化社会で静かに死ぬための心構えを示す、唯一無二の論考。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
trazom
26
確かに「西田幾多郎」の著書もある佐伯先生だから、哲学的論考の本を書かれても何の不思議もないが、とうとう、「死生観」に到達されたかという感慨を覚える。「生と死」ではなく「死と生」の本である。肉体や私を超えた「生命」を信じるトルストイ、死は救済か恐怖かと悩む大乗仏教などを例示しながら、死の意味を考える。「経済成長が可能かどうかなどということよりも、生の意味や死の意味を問うことの方がはるかに人間的な問いであり、人類普遍的な問いである」と語る経済学者が到達した境地に敬意を覚える。「メメント・モリ」の貴重な一冊。2019/03/26
Aiichiro Nakajima
20
宗教とは違った死を受け入れる内容。 死は、無。忙殺される日々を辞め立ち止まって無について考える? やっぱり宗教っぽいな?2019/01/16
わたなべ
18
哲学の授業で生と死に関しての発表担当になったのでとりあえず読みやすいものをと思って読みました。新書は面白いですが、気をつけて読まないと政治思想以外でも偏っちゃいそう。2021/05/30
とももん
13
なかなかはっとさせられる部分がちらほらあって、私にとっては良書でした。老いること死に方について、自分自信がなくなっていくということ、排泄や延命さえ自分の意思ではない。ならば自分自信で人生を決められるうちに、「個」であるうちに、自殺した著者がいるということ。なるほど、その手があったか、と思いました。それから、死は「救済」であるということ。今までは、死ぬために病気があると思っていたが、そうではない、病気になってしまって苦しむそれを救済するために死があるということ。なるほど、そういう考え方があるんだと思った。2019/06/05
まつり
13
父親お薦めの一冊。常にアップデートを繰り返し、若さと成長を正義とするこの世界において、死ぬということをどう捉えるかという内容。仏教の観念をメインに考察している。正直、フワフワした内容でとらえどころがなかった。死の実感が父親より薄く、どこか他人事だからかもしれない。実は確固たる自己などは存在せず、ただうつろいゆく何かに過ぎないというどこか脱力した考え方は、もののあはれを感じさせながらも、ホッとする一面があると感じた。2019/01/28




