内容説明
人生をより豊かにするためには、強固な“信念”よりも、柔らかな“心の柱”を見つけよう――。九年の厳しい修行を経験、千を超える公案に取り組んだ禅僧が、禅と仏教の魅力をわかりやすく語る。「坐禅は心のゴミ捨て場」「見返りを求めない」「本当の自分に気づくコツ」等、日々の迷いや苦しみに向き合い、より自由に軽快に生きるためのヒントがいっぱい。これからの日本仏教を背負って立つ、注目の禅僧のデビュー作!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
テツ
26
臨済宗のお坊さんが説く生き方の指南。みんな勘違いしがちでそのために悩みがちだけれど、どんなときにも揺らぐことのない信念を抱かなければ人間失格なわけではない。大切なのはその場その場で過去にも未来にもとらわれず現在という一点にのみ重きを置いて柔軟に対応するしなやかさ。心は自縄自縛の罠に陥ることなくもっと自由に。拠り所は信念なんていうふんわりした頼りないものではない。ただただ目の前の物事に集中し全力でそれと戦うことのできているこの瞬間の自分自身こそが自分の拠り所だ。2018/09/03
おせきはん
13
強固な「信念」よりも、五重塔の心柱のように柔軟にたわむ「心の柱」を見つけることを説いています。目の前のことに集中して、しっかりと取り組むことの大切さを再認識しました。修行僧の生活、坐禅や公案など、禅僧の修行の様子を知ることができたのもよかったです。2019/01/15
アルカリオン
11
読みやすく、面白い。それでいて、読んでいて自然と背筋が伸びる。「読む禅」とでも呼びたくなる良書。2025/06/03
どん
8
人生論のような本とは少し違う。禅宗の宗派間の違いが何かを初めて知る。 「人生に信念はいらない」は後半に控え目に登場する。五重塔のように、しなやかにたわむ「心の柱」を確立することが悟りに近い。過去や未来に固執することなく、今の、目の前のことにしっかり向き合うことで、生きがいも見つけられる。 教えられるものでもなく、自分で考えなければならない。 2018/12/05
るるぴん
7
龍雲寺住職が禅や仏門について考察した著書。氏の祖父は高名な松原泰道和尚で、生前のエピソードなどが興味深い。人生を豊かにするために大切なことは、入ってきた情報を拒絶することではなく、しっかりと受け止めた上で、執着して停滞することの無いようにすることが大事。悪いことも良いことも全て。「死」があるからこそ「生」があると考えることによって、「生」の充実こそが「死」の充実に繋がっていくと信じることができるのです。いかなる時も、いかなる場面も平気に当たり前に生きていく。が印象に残った。2019/06/23