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内容説明
roll ones eyes は「目をクリクリさせる」か? 意訳か逐語訳か、「僕」と「私」はどうちがう? 翻訳が好きで仕方ないふたりが思いきり語り明かした一冊。「翻訳者にとっていちばんだいじなのは偏見のある愛情」と村上春樹。「召使のようにひたすら主人の声に耳を澄ます」と柴田元幸。村上が翻訳と創作の秘密の関係を明かせば、柴田はその「翻訳的自我」をちらりとのざかせて、作家と研究者の、言葉をめぐる冒険はつづきます。村上がオースターを訳し、柴田がカーヴァーを訳した「競訳」を併録!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ミカママ
510
翻訳に興味のあるあなたにも、春樹さま、柴田さんファンのあなたにも絶対に満足していただける一冊。春樹さまが翻訳しているのは知っていたが、これほどまでに数こなしているとは知らなかった。そして柴田さんはその最終チェックをしていらっしゃる方だそう(もちろんご自身でもその世界での第一人者&大学の先生)。わたし自身は原書を読む際には頭の中でいっさい和訳しないので、翻訳者のご苦労がよくわかった。その手間の割に金銭的見返りが少ないであろうことも。そう、愛がなくてはできない、のだ。2024/01/18
アキ
100
もう20年以上前に読んだ新書を再読したら滅法面白い。柴田氏が東大准教授時代に村上がゲストとして来たフォーラム1はあくまでさわりで、翻訳学校の生徒とのやり取りのフォーラム2で柴田氏の翻訳は遊び、村上氏の小説と翻訳はチョコレートと塩せんべいみたいなものとの発言があり、プロの翻訳家を交えたフォーラム3では今をときめく岸本佐知子さんが出席者Aとして参加している。カーヴァ―とポール・オースターの訳し比べについての質問と議論が愉しい。お二人が最初に協力して訳した「熊を放つ」も懐かしい。数十年ぶりに再読してみようかな。2021/06/20
nobi
96
タイトルから大方の内容が想像できるように思っていたのが、フォーラムに私も同席しながら、翻訳の世界の深層にずんずん分け入っていく感じがした。脇役に見られがちな翻訳に“かけがえのなさ”を見出している二人。黒子に徹するのがキモであるにしても、黒子がいて人形が生き、黒子毎に人形の気性や機微が違って見えるおもしろさ。例えば「オーギー・レンのクリスマス・ストーリー」競訳で、地の文は村上訳に、会話は柴田訳により息遣いを感じたり。でも“翻訳の日本語には苦労したことがない”という村上氏は翻訳者の中ではかなり特殊な部類かも。2019/01/19
はたっぴ
92
お二人の翻訳作品(オースター、カーヴァー)から興味を持ち、この共著の元となる学生フォーラムでのディスカッションを臨場感たっぷりに楽しめた。翻訳を音楽に例えて「リズム(ビートとうねり)が大事」と言う村上さん。クラシックを色々なバージョンで演奏するように、古典文学ももっとたくさんの訳者が挑戦したらいい等々、自由でざっくばらんな会話に引き込まれた。オースターとカーヴァーの短編翻訳でお二人の感性の違いを比較する〝読み比べ〟も満喫。翻訳本の楽しみ方がちょっぴりわかった気になる。『村上柴田翻訳堂』も読み進めたい。2016/09/29
ムッネニーク
76
70冊目『翻訳夜話』(村上春樹/柴田元幸 著、2000年10月、文藝春秋) 米文学翻訳家のトップを走り続ける2人が、若き翻訳家や翻訳家を目指す学生と行ったディスカッションの模様を纏めた新書。 一見堅苦しそうな本に見えるがそんなことは全く無く、いかに翻訳が楽しい作業なのかが伝わる幸福感に満ちた一冊である。 2人が同じ短編小説をそれぞれに訳すという「競訳」も収録されており、そのスタイルの違いを比較出来るのも面白い。 〈僕は翻訳というのは、基本的には誤解の総和だと思っているんですね〉2025/09/17
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