内容説明
内戦が続き無政府状態のソマリア。だがそこには、現代のテクノロジーと伝統的な氏族社会が融合した摩訶不思議な世界が広がっていた。ベテランジャーナリスト・ワイヤッブや22歳にして南部ソマリアの首都で支局長を務める剛腕美女ハムディらに導かれて、著者はソマリ世界に深く足を踏み入れていく――。世界で最も危険なエリアの真実見たり! “片想い”炸裂の過激ノンフィクション。
目次
はじめに
第一章 片想いのソマリランド
第二章 里帰りのソマリア
第三章 愛と憎しみのソマリランド
第四章 恋するソマリア
おわりに
文庫あとがき
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Aya Murakami
161
ナツイチ2018対象本 ソマリアが恋するのではなく作者さんがソマリアに恋する話。恋する通り越してソマリ人そのものになりかけているみたいでしたが。 民族を知るには食、言語、音楽(踊り含む)だそうです。食と言語は納得だとして音楽は意外な話でした。特に若い時に聴いた音楽が印象に残っているということも。たしかにそうですよね。自分も親も亡くなった祖父も若い時の音楽をことさら美化していますから。 2019/09/01
岡本
155
ソマリア旅は続く。前作以降の4回のソマリアへの渡航を纏めた一冊。前作でソマリアの概要を知った著者はより深い部分に踏み込んでいく。一般家庭で家庭料理を学んだりとほのぼのするシーンから南部ソマリアの最前線での銃撃戦といった激しいシーンまで、ソマリアの色々な面を教えてくれる良書。異文化で価値観の異なるソマリ人達の言動は実に魅力的で、振り回される著者には悪いが実に面白い。2019/01/13
ゆいまある
106
高野さんの最高傑作「謎の独立国家ソマリランド」の続編。何故内戦の続くソマリアにこれだけ何度も行くのか。今回は戦闘に巻き込まれ、命の危険もあった。思うにこれは非日常への逃避である。何でかは知らないが、高野さんは日本での自分の現状に満足してないのだろう。もはやソマリア依存、危険行為依存でちょっと心配。カートを食べると食物繊維たっぷりなのに便秘するのはカチノンの副作用と思われる。乳糖不耐症を利用して便を出すには発酵したラクダの乳では効果不十分で(発酵で乳糖分解されちゃうからね)だから牛乳飲む方が効くんです。2019/08/14
HANA
76
名著『謎の独立国家ソマリランド』の続編。今回は前作みたいな社会全体を分析したものとは趣が変わって、ソマリア人の考え方の特色や人間関係が軸となって進んでいく。日本企業の広告を出したり、ミュージシャンを紹介したり、果ては戦闘に巻き込まれたり。ソマリア人の人となりや日常に分け入ろうとするその姿勢がとても面白いんだけど、全巻で知り合ったジャーナリストが殺されてたり戦闘に巻き込まれたりと日常が一気に非日常に変わる瞬間が何ともはや。でもそんなソマリアが好ましく感じるのも著者の愛と筆遣いのためかな。面白かったです。2018/12/24
鱒子
73
「謎の独立国家ソマリランド」の妹分に当たります。前作の熱が冷めないうちに本書に取りかかりました。正直言って私には魅力がよく分からない自由すぎる民族性。高野さんは、この国にどっぷりハマってすっかり恋しちゃってますね。前作で覗くことすらできなかった庶民の生活に肉迫します。ーー便秘の難産シーンには笑いました。2018/09/01