内容説明
第二次世界大戦という極限状態の中で、ほかに類を見ない名コピーがなぜ次々と生まれたのか。
クライアントは情報局、大政翼賛会。仕事は戦意高揚を図るポスター制作。山名文夫、新井静一郎ら「報道技術研究会」の精鋭たちは、戦争という極限状況の中で、自らのもつ最高の技術を駆使して応えようとした。それは糾弾されるべきか、それとも表現者の業なのか。クリエイターである著者が、自らの問題として世に問うた衝撃の話題作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ブック
6
広告人を含む表現者は、例えそれが大局的に見て戦争に繋がることであっても、暮らしのためにはその才能を国家への協力に使ってしまうと筆者は言う。社会の犠牲を考えてしまう人間は広告人としては続かないとも。そしてそれを根拠に「戦争は絶対にやってはならない」と。しかし、では戦争が起こりそうなとき、或いは起こそうとして世論形成のために広告やメディアを使おうとする力学が働く中で、戦争を起こさないようにするためには、誰が何をすべきなのか。私も広告人の一人として、筆者の意見ではいけないと感じた。人のせいにしてはいけないと。2023/07/06