内容説明
混迷する現代社会をどう生きればいいのか。
山積する難局をいかに乗り越えればいいのか。
稀代の碩学が、日本人の進むべき道をわかりやすく照らし出す、
「山崎文明論」の真骨頂!
「歴史に耳を澄ませながら未来を見つめる本書は、日本人の羅針盤となる」
姜 尚中(東京大学名誉教授)
「山崎文明論」が21世紀の日本を斬る!
「この本が私の著書として過去に例を見ないのは、数編だが
私の身辺雑記に似たものが巻中に含まれていることである。
じつは半世紀にわたる私のもの書き生活の中で、つねに厳しく
自分に禁じてきたのが、みずからの私生活を語ることであった。
(中略) だがこの数年、老いの衰えをわれながら実感するなかで、
あえてそれを隠さずに生きることも一つのもの書きの
覚悟ではないか、と考えるようになった。(中略) このひそかな
覚悟の変化が私の表現活動にどのような影響を与えるか、
自分で自分に興味をいだいている。」 (「あとがき」より)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Haruka Fukuhara
10
終わりの2編とあとがきが印象に残りました。身辺雑記のようなものは封印してきたが今回書いてしまった、ということで心境の変化が赤裸々に綴られていました。あとは姜尚中が帯を書いていたのであれ、大丈夫かな、と思ったけどそう変な文章はなかった気がします。2017/07/14
HMax
7
「高学歴・低学力」「定常化社会」「第二次大戦後は続いている」この3つが特に印象的。高校・大学を無償化すると更に低学力化が加速し、中学卒業後に税金を納め社会に貢献する勤労者との格差が生じる。全くその通り。成長無き社会へのソフトランディング。科学万能主義者としては科学技術の振興政策によって成長を継続して欲しい。冷戦終結によって中断されていた戦後が再開、急速な発展と復興の遺産とともに負の遺産も引き継がないといけない。付箋だらけになりました。2017/12/16
まゆまゆ
7
2012年からの筆者のコラムをまとめた内容。教育に関しての高学歴化と低学力化の指摘に関して、義務教育相当の学力の到達点を示し、卒業試験を課したり留年制度を設けることについてはなるほどと思うが、ソースがワイドショーなのはいただけないなぁ……日本では終戦として取り扱っていても、中国韓国ではまだ第二次世界大戦は続いている、との指摘には納得。2016/06/27
クリフトン
1
「ほろ酔いと日本文化」「嗜好品が文明をつくった」 政治経済では中庸だがやや俗論風(失礼…)かと思ったけれど 上記のものなど読むと流石と感心しました 「英語ではほろ酔いを指す婉曲語として 「メリー(楽しい)」「メロウ(のどかな)」と言うのだそうである ここにはどう探しても 日本語の擬態語「ほろ」の秘めたるあの含羞 淡いはかなさのかけらさえ見られない」2020/09/29
すけよし
1
教育についての筆者の見解に大いに考えさせられた。現代日本は、「高学歴・低学力化」が進んでいると述べられており、授業の在り方を問題視されている。本来、授業とは、子どもの個性に応じて心身の成長を図る仕事だという。大学在学中に休学し、留学したり社会経験したりする「ギャップイヤー」は責任感を身につけるのに良いとのこと。高校生のうちに実践しても良いという筆者の意見は、これから育児をする私にとってとても参考になった。2019/04/09