内容説明
「昭和史」対話篇、待望の文庫化。
『世界史のなかの昭和史』が刊行され、代表作「昭和史シリーズ」が完結――それらのエッセンスを、12本の対談で理解できる!
あの戦争の指揮官たちのそれぞれの戦後。
硫黄島の戦いに殉じた栗林中将の手紙。
東京空襲の夜に凧を揚げていた少年。
「阿部定事件」で中断した国会。
反安保デモの終わった夜――。
激動の「昭和史」を目撃した半藤氏と12人の対話がポスト平成時代に問いかける。
「私たちは『昭和』をこう生きた。君たちはどう生きるのか?」
もはや対談者の多くが鬼籍に入られたいま、この本そのものが「昭和史」です。
〈対談者とテーマ〉
●澤地久枝――ふたつの戦場 ミッドウェーと満洲
●保阪正康――指揮官たちは戦後をどう生きたか
●戸高一成――なぜ日本人は山本五十六を忘れないのか
●加藤陽子――天皇と決断
●吉村昭――東京の戦争
●梯久美子――硫黄島と栗林忠道
●野中郁次郎――撤退の本質
●野坂昭如――繁栄という名の貧窮
●宮部みゆき――熱狂の昭和
●丸谷才一――戦争と艶笑の昭和史
●佐野洋――清張さんと昭和史
●辻井喬――希望と喪失の世紀
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
へくとぱすかる
45
昭和戦前の日本は、なぜ破滅の道を進んでしまったのか。戦争を左右し、国の要衝を握っている人物たちが、都合の悪いことをひた隠しにしてしまったことなど、対談の中で昭和史の実情を明るみに出しているが、そういう体質が、実は今でも続いていることも語られていて、これには大変な危惧を感じる。昭和史を語る本でありながら、「君たちはどう生きるのか?」を問いかける本。2018/12/02
みっちゃんondrums
27
1998~2011に渡る対談集。お相手には鬼籍に入った方もいらしゃる。ほぼ戦中から戦後を話題にしている。下町出身の半藤さんはいつもながらきっぷのいい物言いで、人情味にあふれている。各章で、こみ上げてくるエピソードが挙げられている。日本人と日本をまじめに考えたくなる。「どうも、日本人というのは歴史を右か左か、善か悪かはっきりした立場で割り切らないとおさまらない性癖でもあるのでしょうか」「軍の指揮官たちはもちろん、兵隊経験のある方もしだいに亡くなっています・・・誤った史実や伝承が生まれないようにしたいですね」2018/10/03
金吾
25
○興味深い対談集でした。責任ある立場の人が責任を取らない無責任さ、信念がなく時流に乗る者、結果からの原因の邪推について感じることがありました。山本元帥も責任という意味では余りあるとは感じませんが、半藤さんの山本元帥への激賞振りも含め面白かったです。澤地さん、保阪さん、梯さん、野坂さん、辻井さんとの対談が良かったです。2021/02/10
てん06
17
半藤一利と12人の有識者の対談を再録したもの。対談者のほうも鬼籍に入った人が多い。太平洋戦争に関した内容が多いが、松本清張や阿部定事件、幕末史、司馬遼太郎に関する内容もあり面白い。「日本の組織に一番欠けているのは自己点検による自己改革。さらに言語化。」その通り。驚くほど何も変わらない。昨今、うすら寒い感じをうけることが増えた。昭和は遠くなったが、再度学びなおす必要性を感じる。2021/04/17
Ayako
15
主に戦争前後の出来事をテーマとした、半藤氏と著名人達の対話集。この時期は数々の事件があったが、名前と概要だけは知っていてもその背景やそもそもの発端となった出来事までは知らない事が多い。この本で初めて知った事が多く、勉強になった。この時代の人々が何を考え、どこに向かおうとしていたのか。歴史は脈々と過去から未来に繋がっているものだ。昭和史を学ぶ事は、これからの日本の行く末を占う上でも有益であろう。2019/03/26