「蓋然性」の探求――古代の推論術から確率論の誕生まで

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「蓋然性」の探求――古代の推論術から確率論の誕生まで

  • ISBN:9784622086871

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内容説明

古代の法典からパスカルの書簡まで、「蓋然性(probability)」の歴史絵巻を紐解き、確率論の前史のイメージを刷新する。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

roughfractus02

7
アイザック・トドハンター『確率の数学論史』を参照したイアン・ハッキング『確率の出現』ではパスカル以前の確率論の歴史はほぼ見当たらず、パスカル以降「出現」したとされた。本書はこの定説に対し、古代の「証拠」が「徴候」を意味した点から、古代からの徴候による論証を確率論前史と捉え、さらに近代初期までの蓋然性の非演繹的で非定量的な論証の歴史を法学、科学、哲学、論理学、商業に渡る領域に渡って浮かび上がらせる。さらに確率が数学化する近代以後も生き延びるこの論証を、著者は客観的ベイズ主義の論理的蓋然性主義に見ようとする。2018/10/23

渡邊利道

4
数学的な「確率」概念が成立する前の西欧での「蓋然性(本当らしさ)」をめぐる思考を考察した本。まず法律、古代の弁論術・論理、古代から近代に至る物理学、人相学、医学、経営学、生物学、歴史、哲学、宗教、保険、年金、賭博、サイコロと続く。数学的な確率概念の整備される以前からさまざまな本当らしさをめぐる発明的な試行錯誤があり、素晴らしい着想もあったという当たり前の事実が細かく記述され、また数学的思考の精緻化が生み出した新たな事態の意味についても考えさせる。非常に多岐にわたる論点のある本だが大変面白かった。2018/09/11

Rootport Blindwatchmaker

3
科学とは現時点で一番もっともらしい仮説の体系だ。では、そもそも「もっともらしい」とはどういうことだろう?本書は単なる確率論の成立史を超えて、人類の「もっともらしさ」の判定方法がどのように進歩してきたのかを(神託が力を持った)神話の時代から振り返っている。個人的には「暗黒時代」のはずの中世欧州が、蓋然性の概念ではそうでもなかったという議論が面白かった。また、ルネサンス~科学革命時代のオールスター総出演感が楽しい。科学的正しさを「絶対的正しさ」と勘違いする人の多い現代日本で、もっと広く読まれるべき一冊だろう。2019/09/14

gachin

2
確率概念の黎明についてつぶさに記述しまくってる。著者は博覧強記で志も高く。読んでて楽しかった。訳文も非常に読みやすかった。/ 「Aである」と「Aであると判断するのは妥当」の違いは重要。/ 法的蓋然性と数学的蓋然性は無関係(とする社会通念もあった)らしい。/ 証拠を並べることが権力関係の隠蔽になることも多々あった。

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