講談社学術文庫<br> 変成譜 中世神仏習合の世界

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講談社学術文庫
変成譜 中世神仏習合の世界

  • 著者名:山本ひろ子【著・訳】
  • 価格 ¥1,595(本体¥1,450)
  • 講談社(2018/07発売)
  • ポイント 14pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784065124611

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内容説明

日本中世はその精神性を措いては理解できない。熊野巡礼、修験神楽、法華経注釈、天皇の即位灌頂……神仏習合の多彩な展開を一次資料から徹底的に解読し、そこに心身と世界のドラスティックな変革=「変成(へんじょう)」という壮大な宗教運動を見出した渾身作。中世という激動の新世界、その遠大な闇と強烈な光に、日本随一の宗教思想史研究者が迫る!

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

HANA

66
熊野詣、奥三河花祭り、比叡山、宮中。それぞれの場所を論じた論文が変成という糸で繋がって、射干玉の闇の中にあるような中世の精神世界を雷光のように照らし出すのは圧巻。内容は極めて難解であるものの、そこにある中世独特の宗教観が魅力的なので集中して読める。個人的に興味深かったのは法華経の変成男子に関する考察、今までは漠と女が男に変わるという風にしか考えていなかったが、かくも様々な考証がされていたとは、やはりこの時期の叡山は面白い。他にも天照とダキニ天の関係だとか、尽きぬ泉のように様々な事を教えられる一冊でした。2020/05/06

syaori

53
「変身を主題とする」四本の論文を収録。熊野詣、霜月神楽、龍女成仏、天皇の即位灌頂と主題は様々ですが、共通するのはそれらを中世という時代から考察していることで、それにより、中世という時代が「抱懐せざるを得なかった浄穢の宗教観念」や中世人の「浄土を希求する宗教情動」が顕れてくるよう。神仏習合の時代、その情動は修験道や神道も包含する複彩的なもので、その複層的な複雑さに目を奪われると同時に、熊野詣や神楽の浄土入りに見る受苦と滅罪への情動が西洋中世の聖地巡礼の流行にも通ずるように思われるなど興趣が尽きませんでした。2021/06/23

tonpie

19
正直言って、私の教養レベルでは一読したくらいでは歯が立たない。したがって、恐縮ですがこれはレビューではなく、単なる自分の為の覚え書き。著者が探求しようとしている日本中世の「神仏習合」の実態、その習俗と理念に強く惹かれ、著者の情熱にも痺れるのだが、著者が前提とする「周知のとおり」の周知の部分を八割かた知らない羞恥。繰り返し読むか、周辺の基礎学習から攻めていくしかないのだが、そういう執着をしたくなる、私にとっては特異な本になりました(恥)。2021/06/07

スターライト

12
中世における宗教の世界、それも「変成」というキーワードで光を当てていくというようなので、手に取ってみた。4部に分かれ、中世熊野詣、奥三河の霜月神楽、『法華経』の龍女成仏、天皇の即位灌頂をその意味や書物に現れたエピソードからその本質を明かしていく中で、それらがまさに「変成」をテーマにしていくことがわかったときの驚き。引用される文が元は漢文だったり、読みの難しい言葉が頻出したりで読みづらさは否定できないものの、貴重な書物を渉猟して織り上げた本書は、中世の宗教史に関心がある人には貴重なはずだ。2018/08/23

maqiso

4
熊野詣は葬送に擬えられ、本覚思想と結びついて本宮の行き帰りは浄土への往還とされた。奥三河の大神楽では浄土に見立てた白山へ渡った。龍女の成仏は変成男子の他に畜類の成仏というテーマも生んだ。三毒を表す蛇の形に神が垂迹するとされた。話が細かく難しい。2023/01/06

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