文春文庫<br> 原爆供養塔 忘れられた遺骨の70年

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文春文庫
原爆供養塔 忘れられた遺骨の70年

  • 著者名:堀川惠子【著】
  • 価格 ¥968(本体¥880)
  • 文藝春秋(2018/07発売)
  • ポイント 8pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784167911096

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内容説明

広島平和記念公園の片隅に、土饅頭と呼ばれる原爆供養塔がある。かつて、いつも黒い服を着て清掃する「ヒロシマの大母さん」と呼ばれる佐伯敏子の姿があった。なぜ、佐伯は供養塔の守り人となったのか。また、供養塔にまつられている被爆者の遺骨は名前や住所が判明していながら、なぜ無縁仏なのか。「知ってしまった人間として、知らんふりはできんのよ」佐伯敏子の言葉を胸に取材を丹念に重ねるうちに、埋もれていた重大な新事実が判明していく──。引き取り手なき遺骨の謎を追う、もう一つのヒロシマの物語。

第47回(2016年)大宅壮一ノンフィクション賞、第15回早稲田ジャーナリズム大賞受賞作がついに文庫化! 

解説・平松洋子

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

へくとぱすかる

45
亡くなった後もなお、原爆死をとげた人々は報われてこなかった。遺骨を納めた供養塔をもっと尊重しても良いはずなのに、そうはならない法律や行政の壁。それを乗り越えられたのは、佐伯さんのような当事者の献身的行動だった。97歳の生涯は、まさに原爆を過去の歴史にしてはならない、という思いを体現したのだと思う。本書のような、人々ひとりひとりの歳月を掘り起こしてくれる本はとても貴重だ。2018/08/10

99trough99

23
広島の平和記念公園にある「原爆供養塔」にまつわるお話は塔設置の経緯から始まる。そして、自らのすさまじい被爆経験から塔に祀られている遺骨を遺族へ返そうと動いた佐伯敏子さんの人生を追い、そして納骨名簿に名を連ねる故人を追う著者の堀川さん...。もちろん戦争反対なのですが、戦争で命を奪われた人たち一人ひとりに思いをこんなにも馳せられるなんて..、絶句しました。堀川さんや出版社の人たちが働きかけても、広島市市役所の担当が中々動いてくれなかったことも遠慮せず書いてしまっているところも印象的。2022/06/12

hatayan

22
原爆の犠牲になった7万人の遺骨が納められた、平和記念公園の片隅にある「原爆供養塔」。死者の無念に寄り添うように塔を守り続けた女性、佐伯敏子さん。 死者の存在は次第に見えなくなり、あの日の起出来事はやがて忘れ去られていくのではないか。 佐伯さんの危機感を引き継ぐように、供養塔の名簿に記された名前が正しかったのか、朝鮮からやってきた人達は犠牲者に数えられていたのか、犠牲者がおおよそでしかとらえられない戦時中の過酷な現実を著者は明らかにしていきます。 日本は世界で唯一の被爆国であることを強く意識させる一冊です。2018/11/04

Shoko

21
広島平和記念公園の片隅に、土饅頭がある。人類史上初めて、核兵器の犠牲者となった死者たちが眠る原爆供養塔だ。同じ平和記念公園の中にある慰霊碑には、修学旅行で訪れたことがあるけれど、供養塔については初めて知った。ひっそりと佇む供養塔には、かつて、毎日 清掃したり、遺骨の名簿をノートに書き写す作業に勤しむ佐伯敏子さんの姿があった。膨大な数の遺骨を家族のもとへと返す。無謀とも思える難技にたった1人取り組むことを決して諦めなかった佐伯さん。「知った者は歩き続けなくてはならないのよ」→2024/02/26

てん

17
今夏広島を訪れたとき、平和資料館を見学し、原爆慰霊碑の脇を相生橋方面へ歩いていた時に、左手に緑の土饅頭が見えた。これは何かと見ると原爆供養塔とあり、遺骨が納められているとのこと。県外に住む身として何度も原爆忌を報道で見ていたが、このようなものがあると初めて知った。その後立ち寄った書店で本書を見かけ、不思議なめぐりあわせのように感じて読んだ。原爆の犠牲者は十数万と一言で言われるが、様々な人の命の集合である。供養塔、遺骨をめぐる人々を丹念に取材している。2023/08/29

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