内容説明
スイスの町でドイツ語教室に通いはじめたアメリカ人の女。教室を満たすよくわからない言葉と、彼女を誘うわかりやすい男たち。かたくなに秘密と憂鬱を抱えこむ彼女は、嘘を重ねて男たちと情事を続けるが……。詩人作家が独特の文章で孤独をつづった文芸長篇。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
hagen
14
原題の「ハエスフラウ」とはドイツ語の主婦を意味するらしいが、この物語の主人公の主婦アナが抱く溢れんばかりの3ヶ月程の想いが綴られる。アメリカから夫の国にであるスイスに移住する事により彼女の精神は限りなく疲弊する。ドイツ語の語学学校、女性精神科医、禁断の逢瀬を通じて自らの胸中の煩悶を沈めようとするのだが、取り巻く人々の作意の無い介入が、果ては彼女の挫折が、不幸が、誤解が、泥沼に足を取られる様に彼女の棘が刺さった様な精神を衰弱させていく。心の動きを克明に描き出す言葉一つ一つが一人の女性の持つ迫力を感じさせる。2021/01/08
入谷 聡 (illy)
4
装幀に惹かれて借りてきてぐぐいっと一気に読了。主人公はスイス・チューリッヒ郊外に住む37歳主婦、なんだけどかなり感情移入した。アナは賢くて、悲しい人。2018/11/14