内容説明
「法医学者は死体の専門医だ」と自負する東京都監察医務院院長を務めた著者が、死体から社会や世相を見る。
二万体を超える死体と対面し、死体の発する声を聞く「逆の発想」で現代日本の抱える病理まで探っていく。
殺人、事故死、自殺といわゆる「外因死」と病気による「内因死」が、社会や残された者たちにどういう影響を及ぼすか。
身近な者の死は悲しみだけではなく保険金や相続の問題も引き起こし、少年犯罪や子殺しといった弱いものが犠牲になる殺人はいじめや育児放棄の結果でもある。
「死とは脳、心、肺の停止した結果で、その原因が重要なのだ」と「死体」論を結論付ける。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
しーやん
3
上野先生の著書3冊目、すっかりファンに。監察医制度の歴史や変死体の扱われ方など、独特かつ軽妙な語り口。今回も溺死体考察が秀逸やったのは、上野先生の得意分野やったんですね。2016/08/06
rubidus
2
2004年出版。沖縄でのトリカブトの毒を使った保険金殺人事件、神戸での酒鬼薔薇聖斗事件、和歌山での毒物カレー事件が出てきて時代を感じる。2020/05/14
あおき
2
死について考えるのに良い本だなと思う。哲学や宗教のような頭の中のものとは違う。ああ人間死んだら腐るんだなと。2012/07/03
Hiroyasu Saito
1
死体から生を看ると言う観点から書かれた本である。事件や事故の真相を死体を通じて探り、真実を導き出す。ドラマ化しても面白い作品になると思う。2017/10/22
ライムとザクロ
1
4点/102006/12/03