内容説明
【対象:小学校高学年以上】「天山の巫女ソニン」シリーズの菅野雪虫がアイヌ世界を舞台に描いた『チポロ』、ここに完結! 力も弱く、狩りも上手くないチポロが、幼なじみのイレシュを魔物の手から取り戻してから数年後。あのとき、イレシュに魔力を与えた蛇の魔物・ヤイレスーホのもとに、『呪い』の力を授けて欲しいと、一人の少女が現れた。ヤイレスーホ、イレシュ、そしてチポロが、復讐にとりつかれた少女に出した答えとは。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
七色一味
35
読破。『チポロ』の続編。前作を覚えていなくても、序でのツルの神とミソサザイの神の会話から、前作のアウトラインが掴めるようになっている。ハッピーに終わったかに思えた前作も、ヤイレスーホが残した傷跡は生々しく、全てがハッピーだったわけではないということがわかる。カバーの袖にもある不穏な言葉。神とは?魔物とは?人間とは?ラストははっきりとほろ苦な味わい。でも、人間的だな。2018/09/11
バニラ風味
25
一人きりの肉親を失った娘、ランペシカは、自分も父も騙され、遺品さえも奪われたと知ると、復讐に燃える。噂をたどり行き着いた先は、ヤイレスーホ。彼から力を与えられれば、復讐できるのだ。だが、人間に化けることもできる蛇のヤイレスーホは訳を知ると、ランペシカを連れてイレシュの元へと向かった。受け入れられぬ事が起こった責任を、他人のせいと考えるか、自分の責任と思うか、それとも運命と諦めるか。神と人間、その狭間と、それぞれの生き方を考えさせられます。2018/08/21
杏子
21
勤務校に入れた本書をやっと読んだ。せつない物語だった。ヤイレスーホに魔女にしてもらおうとやってきたランペシカの話だが、結局ヤイレスーホの話になっている。イレシュへの思いを考えると……。ランペシカは、イレシュとは違う。魔女になりたいと思ったきっかけも、何かなぁ、という感じ。大人になったチポロも途中から登場してきて話に絡んできた。ミソサザイの神とのかけあいのようなやり取りが唯一楽しかった部分だった。続編の『ランペシカ』も入手しないと!2021/09/19
ときわ
19
私が女神様みたいだと思っていたイレシュ。私は前作でちょっとだけヤイレスーホが好きだったので、頑なに彼に憎しみをぶつけるイレシュに、もう許してあげたら?と思ってしまった。でもいつだったか現実に、子供のころ誘拐され長期間監禁されていた少女が救出された事件。彼女と家族は、犯人のことは顔も見たくない、話も聞きたくない、一生刑務所から出てこないで欲しいと言っていた。イレシュは同じような被害にあったのだ。女神ではなく人間なら当然なのだろう。ランペシカが叶えてあげた願い。哀しいけれど、ランペシカありがとう。2019/06/26
さよ
16
感動しました。人間のようになりたいけど、どうしたって人間を悲しませてしまう。ヤイレスーホの孤独が辛い。ランペシカの今後が気になります。2022/10/02