内容説明
日本SF大賞史上初となる二度の大賞受賞を果たした、現代日本SF最高峰作家の初期作品&評論集。著者自ら封印してきたデビュー作「ポリフォニック・イリュージョン」他5作、ついに解禁。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
藤月はな(灯れ松明の火)
88
飛浩隆のエッセンスがギュギュッと詰まった贅沢な一冊。単行本化されていない初期作品が読めるなんて有難や〜。「異説:猿の手」はHoLicでの話がSF的飛躍を遂げていて正直、たまげました(笑)「いとしのジェリイ」は人間と無生物、創造と被創造、本物と偽物の価値の置き方が逆転するのが痛快。「星窓」の幾つもの現在の可能性と投射によるビックバン描写も清々しくて好き。本の批評については読みたい本が増えて嬉しい悲鳴を挙げたくなります。同時にインタヴューで言及されるSFからの影響や解釈について己のSF読みの浅さを恥じるばかり2018/07/02
keroppi
53
初期短編、書評、自作を語るの三部構成。「グラン・ヴァカンス」も「ラギッド・ガール」も読んでいないのに読んじゃいけなかったかなぁ。とは言っても、飛さんの魅力が詰まった一冊。書評や自作を語るが特にその視点に惹かれた。「シン・ゴジラ」論まであった。やっぱ、前二作読まねば。2018/08/04
まりお
35
SF短編集。お気に入りは「ポリフォニック・イリュージョン」。わたしの言葉にぼくの言葉が混ざりこんだ時はうん?と思い、二度見した。そこからわたしとぼくの言葉を行き来する。最後彼等の魂は安らぎを得られた、と他者が言うのだが、他人の思い込みではなく魂の持主本人の意志で得たかどうか判断される。得られない技術を書く、これが好き。2018/09/24
Small World
29
著作は6冊しかないのに、SFが読みたいランキングでは1位が4冊、2位が1冊と、どれも高評価な飛浩隆さんのデビュー前?短編と書評等を合わせた本書を読了です。初期短編よりも書評やインタビューの方が面白かったりするのですが、作者が寡作な分、喉の渇きを癒す感じの一冊です。とは言え、すべての作品を読んでしまったので、次の新作まで、どうすれば....と、不安になったりもするのですw。2020/02/08
かめぴ
18
ヤバイ!なんかもう凄い。ぎっしりと詰まっている飛氏の魅力が。と言っても自生の夢しか読んでないんだけども…あれでガッチリ鷲掴みされた後のこれ。オタクなのか飛氏。この文体にめちゃくちゃ感動する。「映画やコミックを観るよりエキサイティングでダイレクトな訴求力のある文章でありたい」いや正にその通りです。2018/11/11