内容説明
有名人の覚せい剤使用にまつわる事件が頻発している。ひとたび逮捕されれば、メディアから徹底的に批判され、多くの者が信用や信頼、時には仕事そのものまで失ってしまう。だが、人がなぜ覚せい剤に手を出し、やめられなくなってしまうのか、その背景や依存者を救う手立てまで言及されることは少ない。著者の近藤恒夫氏は自身も覚せい剤におぼれた経験を持ち、現在、薬物依存者のためのリハビリセンター「日本ダルク」代表を務める。実体験による覚せい剤の怖さ、苦しみ、そして依存者が抱える痛みや立ち直らせるための術を伝える。 ※本書は「拘置所のタンポポ」(09年12月刊)に加筆・修正を加えて新たに刊行したものです
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
GAKU
58
薬物依存症に陥ってしまう人達。子供の頃の家庭環境が、多分に影響しているのではという件は興味深かった。とにかく覚醒剤は恐ろしい。2018/03/31
かもめ通信
17
「二度とやりません」「強い意志で立ち向います」そう宣言したところでなかなか実行できないのが依存症。“今日一日は我慢しよう”,明日になればまた“今日は我慢しよう”そうやって一日ずつを積み重ねていくのだと。いろいろ考えさせられた。2019/07/01
よしじ乃輔
3
著者が覚醒剤に手を出してからの半生が怖い。薬物依存者の回復施設を立ち上げた著者の依存者への救済策などをつづる。家庭環境と薬物依存との関係性に対し辛く感じる。2022/12/17
さゆ
0
エピローグに書かれていた「薬物依存者のための国家資格」すごく画期的だと思う。回復の過程で目標にもなる。あるといいのになぁ〜、あれば目指すのに。 ダルクのすべてに尽力された近藤さん、本当にお疲れ様でした。たくさんの仲間がそのあとを継ぐのだと思います。ゆっくりお休みになってください。2022/07/03
ハスキー
0
★5/著者の前作を過去読んだことがあるのですが、3割位は内容が重複しているかもしれません。しかし大変読み応えがあり、沢山の方におすすめしたい作品です。自身のダルクの利用者(それまで覚醒剤の売人として生計をたてることしか知らなかった青年)が、社会に復帰した場面(スーパーで時給700円の接客アルバイトを始めた)を目撃して、電柱の影で思わず泣いてしまったという箇所は、私ももらい泣きしてしまいました。読みやすい文章、表現なので、中学生の保健体育、もしくは道徳の教科書としても使えるのではないかと思いました。 2020/09/16