- ホーム
- > 電子書籍
- > 教養文庫・新書・選書
内容説明
奈良時代に編纂の命が出た「風土記」。各地の特産物や伝承などが記録されており、今でいうガイドブックに近い書物だ。「風土記」を通して古代日本へタイムトリップ!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
かわかみ
6
風土記は律令制の中央集権国家の体制が整うとともに、それぞれの国衙が管轄している土地(国)の伝承や風俗を取りまとめたもので、「風土記」という名称で呼ばれたのは後代のことらしい。ほぼ完本の形で残っているのは出雲国のものだけで、播磨・肥前・常陸・豊後のものが一部欠損した形で残っている。本書は、それら残った五つの国の風土記を紐解いて日本書紀や古事記と異なる伝承や、記紀が扱っていない風俗を解説している。個人的には出雲大社がある出雲国と鹿島神宮がある常陸国の風土記の内容に興味を持った。2023/07/09
bapaksejahtera
6
屡々記紀のついでに説かれる風土記について記紀と対比しつつ論を進める。風土記は記紀といかに折り合いをつけたか、古代の情報伝達能力に鑑み日頃から疑問に思っていたのだが、ヤマトタケルや神功皇后を天皇として扱った風土記の各書や神々に関する多様な記載などから、地方の独自性許容の一端が了解できる。国の下位にある郡の記述の多様さからは人々の帰属としての郡の強さが感じられる。なお著者は風土記逸文の中に風土記ではない物ありとの説を紹介する。私も中央の承認を得られた文書が各国に亙って風土記として残る蓋然性は低いと思うのだが2020/02/22
乱読家 護る会支持!
5
古事記、日本書紀と同時代に、国ごとに編纂れた風土記。全国60国分の各地の風土記が朝廷に提出された。現在、常陸、出雲、播磨、備前、豊後の五つが残されている。。。 スサノオ、オオクニヌシ、カシマ、ヤマトタケルなど、「記・紀」とは異なる側面を見せる風土記の表記。一部の風土記では天皇とされているヤマトタケルと神功皇后。多く残る「歌垣」の記述。2019/01/01
misui
4
『古事記』『日本書紀』が歴史書であるのに比べて『風土記』は地理書である。五書と逸文しか残っていない中に幸いにも地元の豊後国風土記も含まれており、分量は少ないながら記紀神話とはまた違ったローカルな世界を楽しむことができた。神功皇后の記述はこんなに揺れてるんだなとか、開墾や歌垣の伝承も。2020/08/01
はちめ
4
前書きにあるように、風土記の中から親しみやすいテーマで横串を刺してまとめたもの。風土記は分かりにくい地名由来が永延と続いたりする読みにくい文献なので、本書のようなアプローチは初心者には助かる。特に興味深いと思ったのは、日本武尊や神功皇后が風土記の中で天皇と呼ばれていることがあるということ。記紀に記された天皇の系列は一つの説にすぎないということだろうか。同じ逸話が何度も使われているのは気になったが面白く読めた一冊だった。☆☆☆★2018/07/08