内容説明
「維新の三傑」でありながら、西南戦争を引き起こした賊軍の首魁。にもかかわらず、国民の間では圧倒的な人気を誇る。武士にして思想家、軍略家にして温情の人、農本主義者にして詩人でもあった。西郷隆盛ほど捉えにくい人物はいない。だからこそ、さまざまな西郷論が語られ続けてきた。その変遷はまた、時代を映す鏡でもある。同時代人の証言から、小説における描かれ方までを総ざらいする。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mitei
248
色んな人からみた西郷隆盛像が出てきてよかった。結局伝言ゲームになって中々本当はどんな人かって分かりにくいものだなと思う。2019/02/24
厩戸皇子そっくりおじさん・寺
59
内容は題名通り。今年の大河ドラマの主人公、西郷隆盛が身近な人や同時代人、後世の文化人にどう評されてきたかを著者が注釈寸評を加えながら纏めた本である。私はこういう本が好きである。坂本龍馬にもこんな本があればいいのに。西郷という人は、龍馬が評した「大きく叩けば大きく響き、小さく叩けば小さく響く」というのが一番的を射ていると思う。後世の評者など、自らの立場から西郷を叩いているだけである。西郷隆盛は芸能界やスポーツ界の大物同様、同時代の空気を吸っていないとわかり辛いカリスマなのであろう。存在感の一端を知った。2018/01/02
fseigojp
24
やっぱ大河を楽しむには周辺情報を蓄積せんといかんと読破2018/02/06
Mitz
6
西郷隆盛がどのように語られてきたか。それはその時の社会状況を反映する、いわば時代を映す鏡であったと著者は言う。この著には、彼と同時代の人、親族、海外、右派・左派思想家、作家などにどのように語られてきたかが記されている。西郷隆盛という存在を知るために手に取ったのに、読めば読むほど分からなくなる。維新の立役者、陸軍大将・参議、賊軍の首魁というその立場の変遷だけでは推し量れない、魅力、深さ、そしてある種の恐ろしさがある。これから彼がどのように語られていくか。無私で日本の事をただ想った彼の生き様から学ぶ事は多い。2018/05/05
たなかはん
6
大河ドラマのおかげで本屋に西郷本がたくさん並んでいるけれど、これもその中の一冊。色々な人が西郷について語ったことを紹介しながら、人物像を総ざらいしている。中にも書かれているけれど、明治の政治家でさん付けで西郷さんのようにいまだに呼ばれているのは、この人だけだというのは納得。2018/01/31