内容説明
身体からのメッセージを読みとれますか? 高齢者や身体の障害は人間の偏見や差別と深く関わっている。身障者リハビリテーション心理学の専門家が、「リハビリテーションは身体の再建だけではない、心の再建を含むものでなければならない」とし臨床的手法でまとめた、障害を正しく理解するための待望の書
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
miharasi_mamiya
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からだに障害を負うということはどういうことかを心理学的に分析しており興味深かった。愛する人を失うことと身体機能を失うことが脳内のニューロン・ネットワークの再現性を失うこととして同じようにとらえられるというのが面白かった。愛する人にまつわるものが身体的な記憶として刻み込まれている。生の感覚であるクオリアと言語などで人に伝達できるコンプレヘンシオとの関係についての解説も面白かった。2018/07/19
yuka_tetsuya
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愛する人を失った時の喪失感は、脳に型(監視する自己)が残っているので、似ている状況を作り出すことで容易に回復できるが、脳卒中で体の機能を失った喪失感は、脳の型自体が失われ、「監視する自己」が無知に陥るため、ピアサポートなどによる「実行する自己」が一つ一つ型を作り上げてゆく事で、クオリアの病理から一つ一つ回復してゆく。リハビリテーションの回復過程を心理学的に解説した大変にわかりやすい本である。リハビリは身体だけではなく、心の再建も行っていて、トータルとしてからだの再建を行っているという主張に賛同する。2011/07/24
ヘル・Wの空中庭園
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こういう本が読みたかった、やっと探しているものに出会えた、という感じ。フロイトやラカンによる精神分析の方法論に私はとても興味を持っていて、常々、それを身体障害者の介護の場面に応用するにはどうしたらいいか考えていた。この本は、まさにその路線で書かれているという印象をうけた。とはいえ、一種曖昧で不確実なところがあり、本当に論理的かどうかイマイチはっきりしない精神分析という方法に頼りきりになるのではなく、そこを踏まえつつ、身体的な理論や実証からのアプローチという土台がきちんとしているので、信頼がおけると感じた。2010/01/15
kogiku
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身体機能を阻害されることがひとにとってどういう意味を持つのか、という視点が自分にとっては新しかった。2009/01/19