内容説明
霊岸島にある酒問屋武蔵屋は、上方からの高級酒下り酒を扱う大店だ。だが商才のあった主の市郎兵衛が亡くなり四年、武蔵屋の商いは火の車になっていた。市郎兵衛の妾腹三男の卯吉は、主にはなれない。そりの合わぬ長兄の市太郎や義母のお丹に冷たく当たられながらも、心通う者たちと店の切り回しに奔走する日々。新酒番船で一番となった銘酒灘桜の新酒が千樽届くことになっていたが、春の嵐に遭ったという報に武蔵屋一同青ざめる。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
真理そら
23
酒問屋「武蔵屋」先代の妾腹・卯吉が先代の妻と息子たちにつらく当たられても手代としてがんばる話。作者の「入り婿侍シリーズ」に比べて、味方が少ないので卯吉が頑張っても報われないというストレスが残るかも。2019/02/19
nyanlay
10
たまたま図書館で見かけて拝借。意外と言うか、さして期待していた訳ではないので、いいもの見つけた!って感じ。ただ定吉の死が辛かったな…。続きがあるみたいなので、読んでみたいです。2019/06/27
ともさん
8
妾腹の子として生まれた卯吉が、疎なまれながらも手代として働く姿が見事に描かれている。読み応えあり。2019/12/10
ひさか
7
2018年6月講談社文庫刊。書下ろし。シリーズ1作目。先代の妾腹三男の卯吉の頑張るさまが面白く、楽しい。次作も待ち遠しい。2018/09/24
のんぶぅ
7
手代・卯吉の頑張りをそっと静かに見守りたい、後見の人達と幼馴染の岡っ引き、そして棒術の師匠である叔父の存在が頼もしくもあれど。読了後に残る、言い知れぬ切なさが残るのは何故でせう。2018/07/11