内容説明
見た目も成績も普通の中学2年生・八子は、恋愛話ばかりの友達も、いじめがあるクラスも、理解のないお母さんも嫌い。なにより、周りに合わせて愛想笑いしかできない自分が大嫌いで、毎日を息苦しく感じていた。しかし、偶然隣のクラスの田岡が、いじめられている同級生を助ける姿を見てから、八子の中でなにかが変わり始める。悩んでもがいて…そうして最後に見つけたものとは? 小さな世界で懸命に戦う姿に、あたたかい涙があふれる――。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
寂しがり屋の狼さん
19
それは、とてもちっぽけな世界。学校という大陸のクラスという王国。そこには自己の意思や能力とは無関係に王様がいて平民、下民が存在する階級社会。小さな世界に住むことしか出来ない国民は、その世界から弾き出されないように独特のルールに従い自分を押し殺して生活している。目立たないこと、歯向かわないこと、周りに合わせること…それがその世界で生きる掟。小さな国の国民よ…大陸の向こうには大きな海があり、その先にはもっと大きな大陸がある。世界は広い。小さな世界に自分を捨てるな、大陸を目指せ、長旅に備え己の力を蓄えよ。2020/06/19
しお
12
学校、友達、家庭。そんな忙しさの中に埋もれて自分の殻にこもってしまうと、自分で世界を狭めていることにすら気づけなくなってしまう。想うことで、初めて想われていることに気づくことができる。世界を広げることができる。ゆっくりで良い。立ち止まったっていい。「好き」を見つけていこう。探しに行こう。2019/01/01
飲も飲も
5
学校というちっぽけな世界。学校・友達・イジメ・家庭。素敵な広い世界でありますように。2021/07/30
Nori
4
ちっぽけな世界の片隅の話なんだけど、それは当人たちにとっては無茶苦茶大きくて世界の全てなんだよなーと思ったり多物語でした。2022/09/19
りるぷん
4
ページ数は少ないがズッシリきた1冊。主人公三橋八子の悩み、学校、友達、イジメ、家庭と中学生の視点からリアルに描かれていた。周りが気になり神経質になって1番ピリピリするような時期だからこその悩み。大人になると忘れてしまうけど、この時期はチョットの事でも過剰になったなーと思い返してしまった。物語の憂鬱な展開も少しずつだけど前進していくる主人公はもどかしいけど応援したくなる。残念ながら今の自分では感動とかはできなかったが、ピンポイントで自分がこの時代に読んでいたらもっと違う感想になったかもしれない。2018/05/14