内容説明
幼少より蒐集に取りつかれてきた男はジッポー、レコード、野球カードなどの「物体」を超えて、顔出し看板や夏の靴底といった「概念」を蒐集する“エアコレクション”の境地に達する。“特殊古書店”マニタ書房を営む著者が開陳する凄まじき蒐集人生と、そこから導かれた画期的コレクション論。文庫化にあたり3人の蒐集猛者へのインタビュー、伊集院光との対談を増補。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
へくとぱすかる
56
書店で偶然見かけて衝動買い。自分にもコレクターの気性があるので、直感が働いたというべき? さまざまな収集に手を出しては飽きていく著者の半生がおもしろい。何かに一筋のコレクターではなく、とにかくその都度集めてしまうというのも、私とよく似ている。全体としては、そんな趣味を反映した古書店の話に収斂していくのだが、コレクターのサガって、すごいものがありますね。2018/03/22
ホークス
49
2018年刊。著者は私と同い年。50代で古書店主になった話も面白いが、コレクターとしての話がもっと面白い。切手に始まり、ドリフターズのグッズ、野球カード、ダムカード、顔ハメ看板などなど。著者にとってコレクションの本質は、物欲と整理欲の合わさったものだと言う。整理欲とは突き詰めればリストを消し込む欲望。一つずつ消し込む過程が好きで、リスト化や配列も好き。対象が無限にあっても、すぐコンプリートできても駄目。分かるなあ。伊集院光氏との対談では、路上観察的な物が退屈しなくて良いようだ。落ちてる軍手とか。なるほど。2022/05/25
u1
28
実に面白かった!将来、古本屋をやりたいと思ってる自分にピッタリだった。すごい種類のコレクションにハマっては飽きる人の話だが、古本を2階の自室に集めているうちに、1階の茶の間の襖が開かなくなるぐらい、天井がたわんだという話を見て、恐ろしくなった。でも、すごくワクワクする本だった!何かを集めずにはいられない人にとっては、めちゃくちゃ面白い話が多いと思う!とにかく、分かるわぁ…その気持ち、と思ってしまうエピソード満載!エアコレクターの概念は、必見!2019/08/08
ステビア
23
概念の収集家2022/11/17
緋莢
22
〝特殊古書店”マニタ書房を神保町で営む著者のコレクション遍歴が中心です。望月三起也コミックス、切手、映画チラシ、レコードから他人のプライベートテレカ、街角の似顔絵描きなど、実に様々。ただ、それらを今でも集めているかというとそうでもなく、熱が冷めたり、住居環境の変化で手放さざるをえなかったりしています。そして、「エアコレクター」という境地に達します。集めるのは物ではなく「情報」であり「概念」。例えばインターネットで拾った札束の画像「札束JPG」等が紹介されていますが、なるほどな、と感心しました(続く2018/07/08
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