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内容説明
高齢化の急速な進展の中で、日本の医療費はすでに年間四十数兆円を超え、さらに着実に増加している。一方、私たちは医療や社会保障に必要な負担を忌避し、一千兆円に及ぶ借金を将来世代にツケ回ししつつある――。そもそも医療とは、科学、社会システム、ケア、死生観、コミュニティといった多様なテーマが交差する領域だ。これらの全体を俯瞰したうえで、医療のありようや社会の中での位置づけが、いまこそ公共的に問いなおされねばならない。持続可能な医療そして社会を構想するための思想と道筋を明快かつトータルに示す。
目次
はじめに 「持続可能な医療」への視点
第1章 サイエンスとしての医療──医療技術の意味するもの
第2章 政策としての医療──医療費の配分と公共性
第3章 ケアとしての医療──科学の変容と倫理
第4章 コミュニティとしての医療──高齢化・人口減少と地域・まちづくり
第5章 社会保障としての医療──「人生前半の社会保障」と持続可能な福祉社会
第6章 死生観としての医療──生と死のグラデーション
エピローグ グローバル定常型社会と日本の位置
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
shimomiyan
4
超高齢化、人口減少社会のフロントランナーである日本は、このまま確固たる理念のない状態が続けば、モルモットとして終わり、22世紀になくなっているのではないか。年の瀬に深刻な思いを抱かせる本でした。持続可能な日本のためにも、医療問題を考え、解決を探ることは重要です。2019/12/29
nnnともろー
3
これからの医療のあり方。土台となる死生観。持続可能な医療と環境。重たいテーマだが避けられない。2019/07/01
teddy11015544
3
今までの医療や周辺のプラットフォームが変わっていかないとにっちもさっちもいかないということ。2018/10/03
読書家さん#kqKgJj
2
持続可能性という言葉が流行りだし、暫く経った。本書は医療に対しての持続可能性の課題を考える本である。 国家の医療体制から、配分方法、そして問題点。前半はやや経済学的な側面で語られているが、後半になると「ケア」や「死生観」と言った、人文的な面にもページが割かれている。その中で私が面白いと思ったのは、「ケア」の部分で、ケアを一対一の人と人のケアとしてだけ見るのではなく、環境やコミュニティも盛り込んだものとして考えることである。農業とコミュニティと経済が総合となった、「恋する豚研究所」の例はとても興味深かった。2022/05/05
Tatsuo Mizouchi
2
☆☆☆ 広井さんも医療、福祉、環境、まちづくりに接続するのに苦労しているようです。宇宙的生命という概念を出してきました。2019/01/11