ヴィトゲンシュタイン 世界が変わる言葉 〈エッセンシャル版〉

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ヴィトゲンシュタイン 世界が変わる言葉 〈エッセンシャル版〉

  • ISBN:9784799322697

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内容説明

それまでの哲学をひっくり返した天才、ヴィトゲンシュタイン。
難解と言われる彼の文章に『超訳ニーチェの言葉』の白取春彦が挑み、
読者の視点を変え、人生と世界が新しく見えてくる鮮烈な言葉を誕生させた。

「きみがいいと思ったら、それでいい。誰かから何と言われようと、事実が変わるわけじゃない」
「きみ自身がきみの世界だ。きみの生き方で、きみの世界はいくらでもよくなっていく」
「内心や胸の奥の気持ちといったものがそれほど重要なのだろうか。
その人の表情や態度に表れているものよりも、本当に重要だと考えていいのだろうか」


ヴィトゲンシュタインとは

ルートヴィヒ・ヴィトゲンシュタインは1889年4月に
オーストリア・ハンガリー帝国の帝都ヴィーンに生まれた。
父カールの八番目の子、五人の兄弟と三人の姉妹の末っ子だった。

(中略)
兵士であった五年間も含めて六年越しで書かれた原稿は
1922年に独英対訳の単行本としてイギリスで出版された。
これが有名な『論理哲学論考』であり、ヴィトゲンシュタインの生前に刊行された
ただ一冊の哲学書である。この薄い一冊が当時の哲学界に衝撃を与えた。
従来のほぼすべての哲学を真っ向から否定した書物だと思われたからである。

とはいっても、従来の哲学書のここかしこがまちがっていると指摘したのではない。
人間の論理的な思考と表現に用いる文章(命題)というものが
いったい世界のどこまでを伝えうるものなのか、
どこまでしか伝えられないものなのかを論理の点から考察したのである。

ふつうの人々から見れば、『論理哲学論考』は数式の入った難しい
論理学の書物にしか見えない。しかし、ヴィトゲンシュタインは
これを倫理と美学についての哲学書として書いた。
そのことは序文にもはっきりと記されている。

「この本は哲学の問題を扱い、これらの問題に問いを立てることが…
言語の論理の誤解に基づくことを示す。この本の全意義を次のような言葉にできるだろう。
“もともと言い表せることは明晰に言い表せる。
そして語りえないことについては人は沈黙する”」
(木村洋平訳)

つまり、これまでの哲学は難解な問題を扱っていたのではなく、
言葉の使い方を誤っていたために、それら問題が難解なものになってしまっていた、というのである。

哲学が取り組みながらも解明できない問題は難しいのではなく、
そもそも言語で言い表せないものを言語で表現しようとするからなのだ。
言葉で言い表せないものはただ示すしかない。あるいは口をつぐみ、
音楽や絵だので別に表現するしかないというわけである。

(中略)
自分の影響についてヴィトゲンシュタインはこう書いている。
「私があたえることのできそうな影響はといえば、なによりもまず、
私に刺激されて、じつにたくさんのガラクタが書かれ、
もしかしたらそのガラクタが刺激となって、いいものが生まれることかもしれない。
いつも私に許されている希望は、このうえなく間接的な影響をあたえることだけなのだろう」
(ヴィトゲンシュタイン『反哲学的断章』丘沢静也訳)

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

アキ

48
序文で著者の数奇な人生を知る。考えること・言葉・心・人生・人間・世界・自己について、全部で183の箴言。「言葉はみな概念だ、中身がまるでわかっていない言葉だ、概念の言葉にだまされるな」と手厳しい。人生について「きみの生き方が世界そのものだ」「人生を変えたいのなら仕事でも環境でもなく態度を変えよ」肝に銘じられる言葉ばかり。そして「人生については正確に問うことも答えることもできない。それはただ経験されるのみ。そして説明することができない。しかも、その体験を言葉で誰かに伝えることもできないまま死ぬのだ。」2019/04/10

くるり

10
『論理哲学論考』がかなり難しかったので、先に超訳の方で軽く理解しようと思い、読んだ。言葉の数だけ世界が広がる、景色の見え方が増えていくという考えがとても好き。結局自分が持っている言葉でしか理解ができないし、広げることも出来ない。時々私より広い世界を持っている人がいて、そんな人の話はとてもワクワクするし勉強になる。素敵だなぁと思う。ウィトゲンシュタインの哲学を勉強しようと思ったきっかけをくれた方もまさにそんな人。私の世界が変わる言葉が沢山あった。定期的に読み返したい。2024/06/02

大先生

8
大富豪の息子でありながら、欲がなく遺産は全て兄弟に譲り、自らは修道院の庭師や教員をして暮らした人物。かなり鬱だったのに、前向きな言葉が多い印象です。【無意味とは無価値という意味ではないし、人生にとってまったく無駄という意味でもない。】【世界を変えたいのなら、自分自身が変わらなければならない。すると同時に、世界は変わった自分と同じように変貌する。 そして、きみ自身が幸福に生きるならば、世界はもっとも大きくなって輝くだろう。】明日から世界は変わるかもしれません。なぜなら、私が変わるから!2025/02/24

ぐっさん

7
怪しさ満点だが素材がいいだけに内容もよかった。翻訳者の趣味なのかやたらエモい文体から20世紀を代表する哲学者の日常の思い付きがえんえんと語られている。ヴィトゲンシュタインといえば常に深遠なことばかり考えているイメージを勝手に持っていたが俗っぽいことも考えていたのは意外。2019/03/06

トッド

6
❶常識は人々をなだめはするが実際の解決にはならぬ。経験も解釈。思い出とは今の自分からの記憶への反応。恋しているのは現実の相手ではない。知識とは信じている事に過ぎない。❷なぜ・どうして➡不安の言葉。表情や態度が明瞭な人ほど理解を得られる。❸大事な事は内心ではなく表情や態度。勇敢⇔躊躇い・腰抜け・臆病。❹人の生活を変える力は知恵や知識ではない情熱だ。❺質問するよりその人が何に好きで何に対して微笑むかだ。安楽を求めるは弱さ。多くの人の視線が注がれたものが価値を生む。絶望とは自分の判断が正しいと信じ込んでいるだけ2022/07/24

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