内容説明
鎌倉の山中に庵を結ぶ僧に、謎めいた旅の男が語り聞かせる驚くべき来歴―数奇な運命により、日本人でありながら蒙古軍の間諜として博多に潜入した仁風。本隊の撤退により仲間とともに取り残されるが、やがて追われる身となった一行を、邪神「窮奇」に仕える巫女・鈴華が思いのままに操りはじめる。元寇に際して渡来した一匹の獣は姿形を変え、時に悠然とたたずみ、時に妖しく跳梁する。傑作ダークファンタジー。
※本書は二〇一四年十一月、双葉文庫より刊行された『金色の獣、彼方に向かう』を改題したものです。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
120
恒川さんの本は「夜市」をはじめとしてかなり読んできました。「風の古道」をモチーフにしたコミック6巻も最近読んだばかりです。ここには時代を異にした幻想的な物語が4作収められています。この表題作や「風天孔参り」という作品がわたしには非常に楽しめました。鼬のような動物がモチーフとなってさまざまな怪異的な現象などがちりばめられていて恒川ワールドといった感じがしました。また「夜市」を再読したくなりました。2023/09/26
あも
87
再読。『金色の獣、彼方に向かう』の版元替え再出版(絶版など理由はあると思うので構わないけど、タイトルは変えないで欲しい笑)。繋がっているようなそうでもないような、4つの物語。対馬に生まれ、数奇な運命を辿って元寇に巻き込まれる表題作。自殺志願者か異界へ飛ぶ殉教者か、不思議な夢、穴を掘る男。恒川ールドに触れる度、この世界はいつだって常ならぬものを内包しているのだと感じる。裏側も異界も、それは切り離されたどこか遠くではなく、全部含んだ大きな大きな場所にきっと僕らは生きている。世界の懐は思っているよりずっと深い。2018/12/23
『よ♪』
71
窮奇(中国の霊獣)の使い、雷獣、鎌鼬。金色の毛に白い筋、緑色の目。神の使いなのか?或いは神そのものか?鼬と行動を共にする巫術師、鼬行者とは?樹海に潜み、時折現れる『鼬』を描いた四つの話。『鼬』は如何に日本に渡り樹海に棲むようになったのか(異神千夜)。寂れたレストランに現れた女と自殺志願者の集う雷獣の棲まう穴(風天孔参り)。人間に憑依する優しい森の霊(森の神、夢に還る)。金色の鼬と少女と"猫の墓堀人"の関係(金色の獣、彼方に向かう)。時に然も仲間の如く振舞い、時に残酷に人を──。奔放さが清々しくも恐ろしい。2019/12/25
Rin
68
[再読]ページを開くまで、改題だと気づきませんでした。読み始めると「金色の獣、彼方に~」の記憶が蘇ってくる。鼬のような獣が必ずいる。姿の見えない物語にも、確かな気配が漂っている。あの獣はなんなのか?向かった先はどこなのか?知りたいような、このままでいたいような、不思議な存在。短編を読み終わり、次に進む度に獣の気配を探してしまう。ついつい本当にいたらいいな、どこかに存在してヒトと少しだけ関わっていたら面白いなっと思ってしまう。久しぶりの恒川作品。物語に漂う空気が好きだなぁと再確認できました。2019/09/25
annzuhime
45
恒川ワールド全開の短編集。あの世とこの世の間。なんとも不安定で残酷な世界。今回も全編死をテーマにしており、切なくも美しい。表題作の「異神千夜」は元寇の史実を元にしたファンタジー。風天孔や猫墓掘り人の穴など、怖いけどつい近づいてみたい人間の性。恒川さんの書く人物や現象には惹きつけられるものが多い。決して消すことのできない絆のようなものを最後は感じさせる。果たしてその先にあるのはこの世か、それともあの世か…。2018/08/03
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