内容説明
戦時中に出征し戦死した画学生たちの作品を収集展示する美術館──「無言館」。設立のきっかけや日本中の遺族を訪ね歩き、思い出話を聞きながら遺作を預かる巡礼の旅を描く。解説=池上彰。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
penguin-blue
39
無言館は美術館か慰霊碑かという議論があるそうだが両方の意味を持つからこその存在意義なのだと思う。昨年初めて訪れた、外も中もむき出しのコンクリートの飾り気ない建物の中に狭い間隔でびっしりと並ぶ絵や手紙。確かに中にはまだ稚拙さを感じる絵や通常は並べるのに躊躇するほど状態が悪いものもあるが、絵から受ける印象の強さは必ずしも巷説によらないことを実感する。絵と絵の隙間に私たちは戦争で立たれなければその先の未来に描かれていたはずのたくさんの絵や、戦火の中苦労して絵を守った遺族の思いを見る。2023/08/24
金吾
22
読みながら人生を断ち切られることへの悲しさと苦しさを感じます。他の絵も鑑賞してみたいと思いました。2026/01/27
ふるふる
11
北海道立文学館で開催中の「無言館」展にて購入。本書の「ところどころに散見される自虐的でさえある(著者)自らの『戦後』否定」の部分は、読んでいるこちらが困ってしまうほどだったが、戦後生まれの私には理解できない屈折した思いがあるのだろうな、と。展覧会の説明文だけでは伝えきれない戦没画学生の遺族の思いに触れることができてよかった。2018/07/23
本命@ふまにたす
3
戦没画学生の描いた作品を展示する「無言館」が開館するまでの経緯について書かれたエッセイ。様々な戦没遺族が取り上げられつつも、あくまでも一人称的で自分史のようなものを核に綴られている印象。2022/08/14
百年の積読
2
登場する戦没画学生は比較的裕福で恵まれた人が大半だが、その中で独学で絵を学び天涯孤独のうちに亡くなった大江正美のエピソードは印象的だった。読みながら16歳で招集されインパールで死んだ大叔父のことを考えていた。水呑み百姓の次男だった大叔父の物で残されたのは遺影となった出征時の写真だけで、直に彼を知る人ももうなく、そんな戦没者が大半である中でこうして色々な偶然の組合せで名前や作品や生前の思い出が記録された人々もいて、大叔父のことも何かの形で語り継がれていたらと、全ての人が同じように弔われたらいいのにと思った。2025/09/30
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