内容説明
本書は『国家の存続 人生方程式』の姉妹作である。
〔本文より〕
「何年か前、私の田舎に橋だらけ、道だらけ、という具合に立派な橋や道を作りまくって。各家の前まで。そして、たまにしか利用しない山道まで舗装をした。更には、米の減反を進める中、農地の改良までして、立派なインフラを整え、あげくの果て、過疎化や耕作放棄地となるのですが、これを日本中に作って大きな借金の一つにもなっています。このようなことは予想できたはずなのに、政治家は票獲得のため、行政担当者は怠慢と言うしかありません。馬鹿を通り越しています。地方の住民は自分たちが税をあまり納めていないのに、便利さを自治体へ要求する。今でも言えることですが、国中そのような考えの人が多い。自ら行動するのでなく、してもらえる、してほしいと思っている。何か改造するとなると、総論賛成でも、自分に関係した不利益なことになると反対になる」
(中略)
校門を入ると和子は幸成の腕に抱きつくようにして歩きだした。
「少し離れてよ。あなたは綺麗だし、私にくっついていたら、それに、この派手なペアのリュックのアップリケは目に付きすぎる」
「うちはかまわないえ」
「私は学校を首になるよ」
「丁度良いんじゃない。うちのお養子はんになれば」
「しかし、性急な話だね」
「うちも、お父はんも幸成はんを気に入っているし」
「でも、すぐには決められないよ」
「うちのこと嫌い?」
「好きだよ」
「うち、デパートでお会いした時、一目惚れしたんえ」
「和子さんにはかなわないな。あなたにかかったら私もたじたじだな」
「そうよ。もう覚悟しなさい」
「養子になっても、これじゃお尻に敷かれっぱなしになるね」
「座り心地の良い座布団になっておくれやす」
「ああ、熱が出てきた」
「ふふふふ、ああ可笑しい」
和子は楽しくてたまらないのである。
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